稚エビを増やす!ミナミヌマエビの飼育と繁殖 理想の条件

ミナミヌマエビの魅力と言えば、見た目の可愛らしさのみではなく、水槽内のコケを食べてくれることと水槽内で容易に繁殖を楽しめることでしょう。
アクアリストにとって飼育している生体の繁殖は一大イベントと言っても過言ではありません。
たくさんの卵を抱えて泳ぎ回るメスのミナミヌマエビの姿や水草の陰から顔を出す小さな稚エビの姿を見つけた時の感動は大きなものです。
そんなミナミヌマエビの繁殖に挑戦してみましょう。
目次
ミナミヌマエビの繁殖条件
ミナミヌマエビの繁殖に挑戦と言っても実はそんなに難しいものではありません。
ごく普通に親エビが元気に育つ環境を維持していれば、いつの間にか産卵をして稚エビを見られるようになります。
産卵の条件を強いて挙げるとすれば、ペアリングの可能性を高める為に最低数の親エビは確保したいものです。
その最低数というのも必ずこの数必要というのもないので、私の経験からお話をすれば60cm水槽で水草をそこそこ入れてある水槽なら、10匹から20匹程度を入れておけば間違いないでしょう。
というのもミナミヌマエビはショップなどで購入する際にオスメスを分けて販売していませんので、まとめ買いをして、その中にオスとメスが混ざっている感じになります。
よって10匹から20匹程度を購入しておけば、その中に双方が含まれている可能性は高くなります。
また水草水槽のコケ取り役としてもその位の数なら過剰になることもありません。
ミナミヌマエビの繁殖と水温の関係
もう一つミナミヌマエビの繁殖に大切なことは水温です。
ヒーターを使用した水草水槽や熱帯魚水槽なら気にする必要はありませんが、屋外飼育などの場合には水温が20℃を超えるような時期でないと繁殖はなかなかしてくれないでしょう。
親エビの適正数と繁殖に最適な水温が保てたら、あとはミナミヌマエビが元気に育つ環境を維持してあげればいつの間にか産卵をしてくれます。
その為にはミナミヌマエビが元気に育つ環境についても触れておきましょう。
ミナミヌマエビが元気に育つ環境を大きくまとめると
①水質が安定している
②餌が豊富にある
③外敵などミナミヌマエビを襲う生態がいない
この3つについて一つずつ解説していきましょう。
ミナミヌマエビに最適な水質を保つ
水質が安定しているとは二つの意味があり、急激な変化が無いことと悪化していないことです。
水質の急激な変化とは水換えなどによりpHが大きく変化したり、水温が大きく変化することを指します。
ミナミヌマエビなどのエビ類は熱帯魚以上にこの水質の急変に弱い面がありますので、水換えは少ない量をこまめに行うなどして急激な水質の変化が起きないようにしましょう。
この時、カルキ抜きも忘れずに!
もう一つの水質の急変が水槽投入時です。
ミナミヌマエビを購入してから自分の水槽に入れる時はショップで飼育されていた環境から自分の水槽の環境へと変わるわけですからミナミヌマエビにとっては大きな環境の変化なのです。
いくら自分の水槽の水質が安定していようが、ミナミヌマエビ自体が全く違った環境に引っ越してくるようなものなのですから、この時の水合わせはしっかり行ってあげましょう。
まずは袋ごと水槽に浮かべて水温合わせを行い、その後水槽の水を少しずつ袋に入れて慣らしていきます。この作業を数回繰り返してミナミヌマエビが水質に慣れたら水槽内にそっと離してあげましょう。
水合わせが上手くいったらまずは一安心です。
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また、立ち上げたばかりの水槽は濾過バクテリアの繁殖がまだまだ未熟なため、アンモニアや亜硝酸といった物質が検出されやすいものです。
ミナミヌマエビはこれらの物質にも過剰に反応しますので出来れば立ち上げたばかりの水槽には投入せずに水草やパイロットフィッシュなどを入れて、ある程度水が出来上がってからミナミヌマエビを入れるようにしましょう。
水槽の立ち上げの話は他のページで詳しくご紹介していますので下記ページをご覧ください。
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水質の悪化を防ぐ方法
水質の悪化とは読んで字のごとく水槽内の水質が悪くなっていくことを指します。
水質が悪化する理由には餌の与えすぎ、生体の入れすぎ、濾過能力不足が挙げられます。
初心者に多いのが、「早く大きくなってほしい」、「元気に育ってほしい」、「餌を食べる姿が見たい」
そんな理由から、ついつい餌を与えすぎてしまうことが多いようですが、それらは全て水質を悪化させる要因であることも忘れないでください。
食べ残しがあれば水槽内で腐敗が進み、アンモニアや亜硝酸が生成されていきます。
それらの物質は先にも述べたようにミナミヌマエビにとっては害になる物質なのです。
また水槽内ではミナミヌマエビ達がいる底の方ほど水質の悪化が進みやすくなりますのでさらに良いことでは無いのです。
よって沈殿物を溜めないように餌やりは控えめにしましょう。
水槽内に流木や水草を入れてあればそこに生えたコケや水草の新芽などをついばんでいますので滅多なことで餓死するようなことはありません。
もし餌の食べ残しや生態の排泄物などで底床が汚れているようなら底床クリーナーなどを利用してこまめに掃除をしてあげましょう。
またろ過フィルターにも気を配り水槽内全体の水が循環している状態を保てるようにしましょう。
ろ過フィルターの能力不足や流木、密集した水草などで水槽内に淀みができていたりすると水質の悪化を早める要因となってしまいますので気をつけましょう。
底床クリーナー
餌が豊富にあるかを常に意識する
水槽内に何も入れずにミナミヌマエビだけを飼育しているような環境では餌不足に陥ることもありますが、水草や流木を入れておけば、水草の新芽や流木などに生えるコケ、流木そのものが餌となり、ミナミヌマエビの餌は確保できていると思っても大丈夫です。
ただ、ミナミヌマエビの数が多い場合には餌を与える必要もでてきますので水槽の状況によって判断しなければなりません。
また、熱帯魚と一緒に飼育していて熱帯魚用のエサを与えているので問題ないと勘違いされることもありますが、ミナミヌマエビは草食性が強いので植物性の餌を与えるのが望ましいでしょう。
定期的に植物食性のプレコやオトシンクルス用の餌などを与えるのも良いかもしれません。
それもまた足りないかなくらいに控えめに与えるのがコツです。
先にも述べましたが『餌が豊富にある』と『餌が過剰にある』は違いますので水質を悪化させにくい適正量を掴めるようにしましょう。
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外敵などミナミヌマエビを襲う生態がいない
ミナミヌマエビを飼育している水槽であれば、混泳にも注意を払っているはずですので大型魚や金魚、シクリッドなどは入れていないでしょう。
しかし、稚エビにとってはさらに気をつけなければいけないことがあります。
それは親エビにはまったく無関心な小型の熱帯魚などでも稚エビとなると話が変わってきてしまうからです。
熱帯魚は基本的に口に入る大きさのものを餌として認識する習性がありますので、親エビが問題無くとも稚エビが襲われてしまうこともあります。
よってミナミヌマエビの繁殖を目指すならおとなしい小型のカラシンなどを少なめにいれるくらいにしておきましょう。
また稚エビが隠れられるようにウィローモスやマツモなどの細かい葉の水草をたくさん入れておくことも稚エビの生存率を高める良い方法です。
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夏場の高水温にも注意
外気が30℃を超えるような夏日には水槽の水温も高めになってしまいます。
水温の上昇は水中の溶存酸素濃度を著しく低下させるためエビ類にとっては致命傷となることもあるのです。
特に体の小さい稚エビにとって水温の上昇は死活問題となってしまいますので暑くなる前から水温対策もしておきましょう。
水槽用クーラーを使用出来れば理想ですが、そこまで準備出来ないような場合は小型のファンを設置したり、蛍光灯のリフトアップをするなどの方法もあります。
水槽冷却アイテム
ミナミヌマエビが元気に育つ環境をまとめると濾過バクテリアがしっかり繁殖しており、濾過能力に優れていること。
隠れ家や餌として水草や流木など自然を多く取り入れていること。
そして水質が安定していること。
この環境こそまさしくネイチャーアクアリウムなのです。
ミナミヌマエビを元気に育て繁殖を成功させる為に大切なことは自然に近い環境を作り上げそっと見守ってあげることなのです。
ミナミヌマエビの稚エビを増やすための条件まとめ
・ミナミヌマエビの繁殖にはペアリングの可能性を高めるためにある程度の数を飼育する。
・ミナミヌマエビの繁殖には20℃を超える水温の維持が大切。
・稚エビを増やすにはミナミヌマエビが元気に育つ環境が大切。
・水質を安定させるとは急激な変化がないことと悪化しないこと。
・底床の汚れは水質悪化を早めるのでこまめにクリーナーで掃除する。
・繁殖にはエネルギーを使うので豊富な餌を確保することも大切。
・ミナミヌマエビを食べてしまう混泳対象にも注意する。隠れ家を増やす。
今回はミナミヌマエビの稚エビを増やすための理想の条件についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。
ミナミヌマエビについてまとめましたので合わせてご覧ください
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