水草には、少ない光量でも育つ【陰性水草】と、強い光が必要不可欠な【陽性水草】があります。陰性水草は丈夫な種類も多く、初心者の方でも扱いやすいメリットがあります。
しかし、知っていると知らないでは大きな違いが出る『陰性水草ならではの注意点』もあります。
どうすれば失敗なく陰性水草を育てる事ができるのか?またCO2の添加の有無や、これから水草水槽を始める初心者にも【おすすめの陰性水草】なども順番に紹介していきますね。
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陰性水草とは?
陰性水草とは?少ない光量でも生命維持が可能な水草です。あまり多くの養分を必要とせずco2無添加でも良い点や、丈夫で初心者の方でも育てやすい水草が多く人気があります。
ポピュラーな陰性水草は、ハイゴケ科のウィローモスやボルビティス・ヒュディロッティー。シダの一種でもあるウラボシ科のミクロソリウム。サトイモ科のアヌビアス系やクリプトコリネ・ウェンティーグリーンなどが人気の品種で、非常に良く目にする種類の陰性水草になりますね。
少ない光量でもOK!
陰性水草は、その場の環境に順応しやすく、光量が少なくても育成は可能ですが【光は水草の栄養分】です。適度な光量はあった方が元気に育ちます。
環境に順応し、暗い環境でも育ちやすい陰性植物は、光量が少なくても効率よく光合成をするため多くの葉緑素を含んでいます。そのため陽性植物に比べると、陰性水草の葉は濃い緑色をしているものも多い傾向がありますね。
このように少ない光量でも育つ陰性水草は、丈夫なだけでなく初心者の方でもそれぞれの育成環境に合わせやすい点もメリットです。それゆえに、陰性水草に興味を持たれる方も多く人気があります。
陰性水草をレイアウトする際の注意点
陰性水草は、比較的丈夫ではありますが、水草の性質を正しく理解し育成する事で初心者の方に陥りがちな失敗もなくなります。例えば、陰性水草は、少ない光量でも育つと言うよりは、弱い光量でも生命維持が可能な水草だと言う事です。
また、陰性水草をレイアウトする際は気を付けて頂きたい事があります。
例えば、ライトを設置した水槽の場合、ライトの真下など光が一番当たる場所!に陰性水草をレイアウトするのは避けましょう。このように光源に近く、光がガンガン当たってしまうような場所は、陰性水草にとっては光量が強過ぎてしまいます。
ライトで光量を補充するのは水草には良い事なのですが、陰性水草の場合あまり強過ぎる光量は向いていません。いくら丈夫な水草でもミクロソリウムのような陰性植物は、強い光量が長時間あたり過ぎてしまうと葉焼けしたり、水草じたいがいじけてしまいます。
陰性水草の性質に合わせた環境に近づけてあげる方が水草は元気に育ちます。よって、ライトを設置する際は、光源元から離した場所にレイアウトしてあげると良いでしょう。
陰性植物は確かに丈夫な一面もありますが、水草の特性をうまく生かす事でさらに失敗なく元気に育てる事ができます。
ライトを使用する場合の照射時間
まず初心者の方が、初めてライトを使用する場合の照射時間は、8時間程度を目安とし初めは(5時間程度)にしておいて慣れてきたら少しづつ照射時間を長くしていくスタイルが良いでしょう。
陰性水草だけの水槽の場合、1日5~6時間ていどの照射でも充分です。
慣れたきたら、さらにライト照射時間(最大12時間)を伸ばしても良いのですが、あまりライトを長く点灯してしまうと陰性水草の場合はコケのリスクも上がるので、様子を見ながら行います。
そして、水草にも体内リズムがありますので、必ず毎日決まった時間に点灯してあげる事がとても大切です。
少ない養分でco2なしでも育つ
陰性水草は、あまり多くの養分を必要としません。肥料は入れなくても枯れる事はほとんどの場合ありませんので、あまり手間がかからないメリットがあります。
もし肥料を与える場合にしても、少しで充分です。
肥料は確かに生長を促進させますが、陰性水草の場合は逆に肥料の与え過ぎに注意です。茎が間延びしやすくなる?だけでなく、水槽内に栄養素が増え過ぎてしまい、コケの発生につながります。
コケ類は成長スピードも速いうえ、栄養分のほとんどがコケにまわってしまいます。生長が遅い陰性水草にはリスクしかなくコケの勢力に負けてしまうからです。水草にコケがまとわりつく!と何かと面倒です(;^ω^)
次にco2ですが・・・。
陰性水草は、重装備となるco2の添加の必要も必要ありません。あまり手間をかけたくない人や、初心者の方にも低コストで育成しやすい陰性水草が向いています。
生長スピードが遅め
陰性水草は、とにかく生長スピードがゆっくりなものが多いです。生長を実感しづらい?と言う点がデメリットかもしれませんね。
しかし考えようによれば、生長スピードが早い有茎草(ゆうけいそう)のように、頻繁にトリミングをしないと景観が崩れやすい水草に比べれば、陰性植物中心のレイアウトは景観の崩れも最小限!むしろない?です。
トリミングは必要?
陰性水草は生長スピードが遅いので、トリミングの手間もなく長期間同じレイアウトを維持しやすいメリットがあります。
トリミングをするタイミングとしては、少し込み合ってきた場所の水草を減らしたり、茶色く色が変色してしまった葉などは、根本からトリミングバサミなどを使い、気がついたら取り除いてあげましょう。
活着しやすい
陰性植物の特徴として、レイアウトに使う石や流木に活着しやすい水草が多いです。例えば、ウイローモスやミクロソリウム(ミクロソリム)、アヌビアス系、ボルビティス・ヒュディロッティーなどは活着しやすい水草です。
すべての陰性水草が活着しやすい?と聞かれると、中にはそうでもない陰性水草もあります。
お気に入りの石や、流木に活着させる事でオリジナルティーを出す事ができます。これらの水槽アイテムに水草を活着させる場合は、根が浮かないようにしっかりと巻き付けて、固定する事が大切です。
陽性水草とは?
陽性水草は、陰性植物とは違い光量は必須です。陽性水草に必要な光量を整えるには、やはりledなどの水草育成ライトなどは欠かせない必需品となります。
光量を多く必要とする陽性水草は、必然的に光合成量も多くなりますので生長スピードも速くなります。
よって、陽性水草の葉は柔らかめで明るい緑色をしたものからオレンジ色、黄色、レッドなど、目を楽しませてくれる色合いが多いもの特徴です。
明るい水槽の中では、色鮮やかな水草がとてもは映えますので自然に水槽内も華やぎます。陽性水草の中には、co2の添加が必要になるものもあります。
co2添加の有無は?
陰性水草は、低光量でco2無添加でも育成が可能で丈夫なものが多いです。もちろんco2添加があった事に越した事はありませんが、とは言え必須ではありません。
陰性水草はco2添加をしなくても良い分、水草の活性もゆるやかとなりますので、成長のスピードも遅くなります。しかし、co2を添加しなかった事が原因で枯れて元気がなくなったり、水草の状態が悪くなってしまう?と言う事はありません。
よってco2添加の有無は自由です。水槽に入れたい水草の種類や各予算の範囲内で添加するか?しないか?を決めても良いでしょう。
もし仮にco2の添加をする場合は、省スペースで場所を取らない小型のボンベが初心者の方にも人気です。co2を添加する事で、陰性植物であるウイローモスも活性するため、びっくりするほど成長の差を感じるのも事実です。
水草についた、小さな気泡な見たい!などの理由でco2の導入される方もいます。しかし、co2の導入には、毎月の維持費も想定する必要があります。予算を控えたい方にはデメリットになる部分ですね。
初期投資費だけでなく、小型ボンベが1本400~500円、月1本ペースで消費したとしても小型ボトルだけでも、ざっと年間で4800~6000円かかります。
慣れてくると、割安で内容量の多い大型ボンベなどに移行されていくケースもあります。ただミドボンなどの大型ボトルは、部屋の見栄えも悪くなりますし場所を取ってしまうので、これもまた大きなネックになる可能性がありますね。
生体がいる水槽であれば、生体が出す二酸化酸素が水草に供給されますが、万が一水草だけの水槽の場合はco2が足りなくなると、どんなに丈夫な水草でも元気はなくなってしまいます。
co2添加は必須なわけではありませんので、まずは育てやすいco2が必要ない陰性水草の育成から始め徐々に検討していっても遅くはないです。
ただ勘違いしてはいけない点として、水草にとってco2は必要な物です。co2添加機材を設置するまではいかなくても、定期的な水替えで水槽内にco2を送ってあげるなどのお手入れは必要です。
陰性水草の種類
陰性水草についていろいろお話させて頂きましたが、陰性水草は、これからアクアリウムを始めたいと言う方でも育てやすく、高価な設備が無くてもチャレンジしやすいのではないでしょうか?
陰性水草は、ハイゴケ化、サトイモ科、シダ科の種類に多くみられます。陰性水草の種類をすべて紹介したい所ですが切りがありませんので、その中でも特に育てやすい陰性水草の種類をいくつか紹介いく事にしましょう。
初心者にもおすすめ陰性水草
陰性水草が初心者の方にもおすすめできる理由としては、丈夫で扱いやすい水草が多いだけでなく『光が少なくてもその環境に順応』しやすい点です。
光が多く差し込む明るい部屋もあれば、北向きの部屋だと光量不足に落ち入ります。しかし、陰性水草であれば仮に光量が足りない部屋であっても、各お部屋の環境に順応しやすい点がメリットです。
下記は、初心者にもおすすめの陰性水草です。
ミクロソリウム・プテロプス
ミクロソリウム・プテロプスは、シダ類の一種でウラボシ科に属します。
アジアの熱帯地域に分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温になります。
ミクロソリウム(ミクロソルム)と言っても、ミクロソリウムの種類は何種類かあります。
見ためや色合いは良く似てはいるものの、葉が先端が細かく避けて面白い形をしているものや、葉幅が狭く細長いものまでミクロソリウム系の種類は豊富にあります。
そのミクロソリウムの中でも、この『ミクロソリウム・プテロプス』が一番【初心者向き】でハードルが低いです。
暗い環境下でも問題なく育ち、とにかく耐性があります。かなり強健な品種ですので、ミクロソリウムの中でもこの種が一番おすすめです。
アヌビアス・ナナ
アヌビアス系は、サトイモ科に属します。
西アフリカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温になります。
アヌビアス・ナナが良く知られていますが、アヌビアスの種類も何種類かあり葉先と尖ったものから丸いもの、細いもの、中には葉形が変異し黄色の班が入った種類もあります。
ただ同じ種類のアヌビアスでも、地植えで施肥した方が良い種類もありますので、慣れている方なら問題ありませんが、残念ながらすべてのアヌビアスが初心者向きと言うわけではありません。
その中でも初心者向きなのは、最もポピュラーなのはやはりアヌビアス・ナナですね。
アヌビアス・ナナ・プチ
アヌビアス・ナナ・プチは、ナナを小さく改良したものになります。名前の通り見ためも小さめで可愛らしい品種になります。
基本種を、サイズダウンしたものになりますが、丈夫で育てやすい点には変わりありません。サイズが小さいので、前景草に向いています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
アヌビアス・バルテリー
アヌビアス・ナナと同じで、強健な人気種です。
西アフリカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
アヌビアス・ナナと違う点としては、アヌビアス・バルテリーは生長が早い点ですね。葉は波状で、濃いグリーンをしています。ただ、割と大きくなる品種ですので、初心者でも育てやすい点は変わりありませんが、水槽内ではそれなりの存在感がありますね。
大きい水草が好きならバルテリー、小さいのが好きならアヌビアス・プチを選ばれると良いでしょう。
クリプトコリネ・ウェンティー・グリーン
クリプトコリネ・ウェンティー・グリーンは、サトイモ科に属します。
スリランカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
水槽内の肥料分が多くなると、葉色がグリーンではなく茶系に変化し、逆に養分が足りないと緑色が強くなります。葉は、波をうったようなフリル型です。水中だけでなく、水上での育成も可能です。
クリプトコリネ系もさまざまな品種がありますが、まずはこの品種が始めやすく初心者向きです。少ない光量で育てられco2の添加も必要ありません。
ただし、注意したい点としては植え替えを嫌う点です。植えこむ段階でしっかり場所決めをしておきましょう。できるだけ頻繁に場所を変えないのがベストです。
クリプトコリネ・ウェンティー・ブラウン
クリプトコリネ・ウェンティー・ブラウンも上記同様、サトイモ科に属します。
スリランカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
クリプトコルネ・ウェンティー・ブラウンは上記の『クリプトコルネ・ウェンティー・グリーン』と色違いです。その名の通り暗めで茶色がかった色をしています。
葉は波うった形状をし、『クリプトコルネ・ウェンティー・グリーン』と良く似てはいますが、草丈や葉の形はクリプトコルネ・ウェンティー・ブラウンの方がやや大きめです。
どちらも、丈夫で育てやすい事には変わりありません。こちらも、水中だけでなく、水上での育成も可能です。
クリプトコリネ・ベケッティー
クリプトコリネ・ベケッティーも、上記と同じくサトイモ科ですが、こちらの品種も初心者向きの品種です。
スリランカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
特徴としては、水質の変化に対して適応力が強いので、初めてクリプトコリネ系の水草に挑戦する方でも、安心して挑戦しやすい品種です。
葉の裏側は、同色の場合もあるが、紫がかったり赤みを帯びる傾向があるので良いアクセントになります。もちろん、少ない光量で育ちco2添加も不要です。
ウィローモス
ウィローモスは、ハイゴケ科に属します。アジアの熱帯地域に分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、20~30度が適温になります。
水槽内で育成可能なコケ種の中では、一番丈夫なのがこのウィローモスであり初心者向きのコケになります。前景草~後景に至るまで、広範囲にレイアウト可能です。
このウィローモスを流木などに重ならないように糸で巻き付けるだけで、オリジナルの流木アイテムができますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
テグス、ビニールタイ、木綿糸、専用ボンドなどを使いコケが浮かないように、巻き付ける事で活着し、新たに新芽が出てきます。葉が伸び過ぎて、見栄えが悪くなってきたらハサミでカットしましょう。
ただし、ウィローモスをトリミングする際は、トリミング後の葉の残片が他の場所に落ちたままにならないように注意しましょう。思いがけない場所で活着してしまう事もあります。
ボルビティス・ヒュディロッティー
ボルビティス・ヒュディロッティーも、ハイゴケ科に属します。
西アフリカに分布しています。
水質は、弱酸性~弱アルカリ性で、22~28度が適温となります。
河川などに見られる水生シダの仲間で、岩場などに着生しています。注意する点としては、高温を嫌う点です。水槽内の温度が上がり続ける葉色が悪くなる原因にもなり、枯れてしまう事もありますので注意が必要です。
おすすめの陰性水草の紹介は以上になります。引き続き、楽しいアクアライフをお楽しみください(⋈◍>◡<◍)。✧♡