ビオトープの濁り| 茶色と緑で原因や対策が違う!?
ビオトープの濁りは放置しても大丈夫?
メダカを入れるとビオトープは濁りやすい?
ビオトープの茶色の濁りの原因と対策は?
ビオトープの緑色の濁りの原因と対策は?
こんなビオトープの濁りに関する疑問についてご紹介いたします。
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ビオトープの濁りは放置しても大丈夫?
透明な水の中で水草が茂り、メダカが悠々と泳ぐ姿を眺めるのはビオトープの楽しみの一つです。
しかし、時にはビオトープの水が濁ってしまう事があります。
ビオトープの水が濁った場合、そのまま放置しても大丈夫なのでしょうか?
ビオトープの景観を良好に保つという観点からすると、濁りは無い方が良いのでそのまま放置せずに適切な対策をとった方が良いでしょう。
ただ、ビオトープの濁りは原因や状態によって多少放置しても大丈夫な濁りとすぐに対処した方が良い濁りがあります。
濁りの原因は様々で、ビオトープに生息するメダカなどの水生生物にとってメリットとなる濁りもあります。
ビオトープの濁りの種類ごとにその状態と対処の必要性についてこの後詳しくご紹介いたします。
メダカを入れるとビオトープは濁りやすい?
ビオトープに最適な生き物といえばメダカです。
水草の間を泳ぐメダカの姿は可愛らしく、いつまでも見ていられます。
しかし、そんなメダカをビオトープに入れる事で水が濁りやすくなる場合があります。
メダカとビオトープの水の濁りやすさにはどのような関係があるのでしょうか?
確かに、メダカを入れるとビオトープ内の水が白っぽく濁ることがあります。
しかしこれはメダカが直接の原因というわけではなく、「濾過バクテリアと有機物のバランスの乱れ」が原因です。
メダカを入れることでビオトープ内の水が濁るケースは、主に次の2つです。
- 立ち上げて間もないビオトープにメダカを入れた
- メダカの過密飼育
このどちらのケースとも、濾過バクテリアより有機物が多くなってしまう事が原因にあります。
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立ち上げて間もないビオトープの場合、濾過バクテリアが十分に定着・増殖していません。
そのため、メダカが出す糞や餌の食べ残しといった有機物が分解しきれないため、水が白っぽく濁ってしまうのです。
立ち上げてから1ヶ月以上経過するまでは、パイロットフィッシュを飼育しながら週に1~2回ほどの水換えを行い、濾過バクテリアの定着・増殖を促してあげる必要があります。
十分に濾過バクテリアが増殖すれば、メダカを入れても白濁りしません。
ただし、濾過バクテリアが十分に定着・増殖したビオトープでも、水量に対して過剰にメダカを入れて過密飼育にしてしまうと、やはり白く濁ってしまいます。
これは生体数が多すぎるために糞や食べ残しの量が増え、濾過バクテリアが分解しきれない量の有機物が発生してしまうためです。
過密飼育を避けるために、水1リットルに対してメダカ1匹を目安に匹数を調節してみて下さい。
このように、メダカを入れる事でビオトープの水が濁るのは、メダカ導入によって濾過バクテリアと有機物のバランスが乱れるためです。
しかし逆に考えれば、メダカを入れても濾過バクテリアと有機物のバランスが取れていれば水は濁りずらいと言えます。
濾過バクテリア以外にも、成長の早い水草を多めに入れたり、餌の量を減らして有機物の発生量を減らすことも濁り防止に効果的です。
メダカを入れたら水が濁ってしまったという場合には、立ち上げ期間や導入匹数が適切かどうかチェックしてみてください。
ビオトープの茶色の濁りの原因と対策
ビオトープの水が濁る原因は濁りの色で判断することができます。
では、茶色に濁る場合にはどのような原因が考えられるのでしょうか? また、どのように対策すれば良いのでしょうか?
ビオトープの水が茶色に濁る原因には次のようなものが挙げられます。
- 底床の砂が舞い上がって濁る
- 流木からアクが出ている
- 珪藻類が発生している
底床に赤玉や荒木田土、田んぼの土などを使っている場合、水を入れた直後は粉塵が舞い上がり茶色く濁ってしまいます。
この濁りは数日経てば自然に落ち着きます。
次に、ビオトープ内に流木を入れている場合、流木からアクが出て水が茶色く濁る事があります。
流木から出るアクはいわゆるブラックウォーターで、比較的クリアな茶色をしています。
この流木から出るアクは生体に悪影響は無く、むしろエロモナス菌などの細菌の増殖を抑えるというメリットがありますが、あまり濃くなると鑑賞性が下がるので、気になる場合はアクが出ないように対策しましょう。
流木のアクを抜いてから使うか、アク抜き済みの流木を購入すると良いでしょう。
ビオトープ内の水が茶色く濁り、底まで見えなくなっているという場合には、珪藻類という植物性プランクトンの発生が原因として考えられます。
珪藻類が発生するのはそれほど悪いことではありません。
むしろ、アンモニアを亜硝酸塩に分解するニトロソモナス属の濾過バクテリアが増殖してきた証拠となります。
なぜなら、珪藻類は亜硝酸態窒素や硝酸塩態窒素を吸収しながら増殖するからです。
そのため、ビオトープを立ち上げてから1~2ヶ月の間に茶色い濁りが発生したら、それは濾過バクテリアの定着・増殖が順調に進んでいる証拠なので問題ありません。
順調に生物濾過が機能し始めると徐々に珪藻類による茶色い濁りは無くなっていきます。
しかしいつまで経っても茶色い濁りが無くならない場合には濾過バクテリアによる生物濾過がしっかり機能していない可能性がありますので要注意です。
珪藻類の発生を抑える対策としては、有機物の量を減らし、水換えを行うようにします。
珪藻類は有機物の量が増えると発生しやすくなるため、底床に堆積した有機物を取り除きます。
同時に水換えを行い珪藻類の量を減らしていきましょう。
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注意点は一度に大量の水換えを行わないことです。
亜硝酸塩を分解するニトロバクター属の濾過バクテリアが定着していない立ち上げ初期のビオトープでは特に注意が必要です。
全水量の1/5程度の水換えを数日間行い、徐々に濁りを改善していきましょう。
また、珪藻類の発生予防にタニシを入れておくのも効果的です。
タニシは水中の養分を濾過摂食で浄化して富栄養化を防ぐので、藻類の発生を抑える効果が期待できます。
また、発生した珪藻類などの藻類も食べて綺麗にしてくれるので、ビオトープに数匹入れておくと便利です。
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以上がビオトープの茶色い濁りの原因と対策になります。
茶色の濁りはビオトープ内のメダカなどの生体への影響はあまり無いですが、濁りにより鑑賞性が下がりますし、日光が水底まで届かなくなるために水草の生育が鈍る恐れがあるので、対策して綺麗な水を保つようにしましょう。
ビオトープの緑色の濁りの原因と対策
ビオトープには茶色の濁りの他に緑色の濁りが発生することがあります。
緑色の濁りはいわゆる「グリーンウォーター」や「青水」と呼ばれるもので、その原因は植物性プランクトンの発生です。
一般的にメダカ飼育にとってはプラスと言われているグリーンウォーターですが、鑑賞性重視のビオトープにとってはマイナスです。
また、グリーンウォーターの濃度や発生する植物性プランクトンの種類によってはメダカに悪影響があるため、グリーンウォーターが全て良いとも限りません。
グリーンウォーターの原因となる植物性プランクトンは大まかに分けて2種類あります。
- 緑藻類
- 藍藻類
一般的にメダカ飼育にメリットがあると言われる植物性プランクトンは緑藻類です。
緑藻類は生まれたてのメダカの稚魚にとってちょうど良い餌となります。
緑藻類のグリーンウォーターで稚魚を飼育するということは周りに常に餌がある状態なので、餓死の危険性が減り生存率が高まります。
また、グリーンウォーターにはメダカの色揚げ効果や硝酸塩を吸収・分解する働きもあるため、メダカなどの生体にとってはメリットが大きいです。
一方の藍藻類によるグリーンウォーターはメダカなどの生体にとって有害です。
藍藻類は植物性プランクトンですが、どちらかというと細菌に近い性質を持っています。
さらに、藍藻類の中には有毒物質を含むものも存在するのでメダカに悪影響を及ぼします。
緑藻類と藍藻類の判別方法は臭いです。
緑藻類はどことなく青臭いような臭いですが、藍藻類はドブのような強い悪臭がします。
とにかく「ビオトープが臭い!」と感じたらそれは藍藻類によるグリーンウォーターの可能性が高いでしょう。
緑藻類は富栄養化と直射日光によって発生します。
そのため、水の富栄養化を抑え、日光が当たる時間を短くすると発生を抑えられます。
緑藻類による緑色の濁りが発生した場合は、底床の掃除と水換えで濁りを改善しましょう。
この時、珪藻類対策と同様に、一度に大量の水換えをしないように注意してください。
何故なら緑藻類は硝酸塩の吸収・分解を担っているからです。
そのため、大量の水換えで緑藻類が一気にいなくなると、硝酸塩濃度が高まる恐れがあります。
少量の水換えを数日間行い徐々に濁りを改善していきましょう。
藍藻類は水草などについた菌を外部から持ち込むことで発生します。
藍藻類は光合成で成長するため、直射日光が長時間当たる環境だとすぐに増殖し、富栄養化が加わると増殖スピードが早まります。
藍藻類は水換えと掃除で除去していきます。
水換えで藍藻類を物理的に除去しながら、底床などに堆積した汚れ(有機物)を取り除きます。
藍藻類は有機物が多く富栄養化した水で、高温を好むため、水換えと掃除で藍藻類が繁殖しにくい環境を整えることが重要です。
水換えは少量ずつ数日間行い、その間日光を遮るようにしましょう。
日光を遮ることで藍藻類の成長に必要な光合成を防ぐことができるので、さらなる増殖を抑制する効果が期待できます。
また、緑藻類や藍藻類によるグリーンウォーターの浄化にもタニシが役立ちます。
タニシは前述の珪藻類だけでなく、緑藻類と藍藻類も濾過摂食して浄化してくれるので、グリーンウォーターの発生予防や除去対策として効果的です。
以上がビオトープの緑色の濁りの原因と対策になります。
ビオトープの濁りまとめ
- ビオトープの鑑賞性を第一に考えるなら濁りは放置せず除去するほうが良い
- メダカを入れて濾過バクテリアと有機物のバランスが崩れると濁りが発生する
- 茶色濁りの原因の一つの珪藻類は亜硝酸態窒素や硝酸塩態窒素を吸収して増える
- 藍藻類による緑濁りは生体にも悪影響があるのですぐに対策する必要がある
今回はビオトープの濁りに関する疑問についてご紹介しました。皆様のビオトープ管理の参考にしていただけると幸いです。
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