ビオトープの掃除|フン掃除や藻掃除はしないとどうなる?
ビオトープのフンや藻は掃除しないとどうなる?
ビオトープを掃除しないでも良好に保つ方法は?
ビオトープの底床掃除の仕方は?
こんなビオトープに関する疑問についてご紹介いたします。
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ビオトープのフンや藻は掃除しないとどうなる?
生物の生育環境を再現するビオトープでは、植物だけでなくメダカやタニシなどの生体の飼育も行います。
メダカやタニシなどの生体は浮き草や水草などと違い餌を食べますし、フンもします。
そんな餌の食べ残しやフンなどの有機物が増えると藻が生える事もあります。
これらビオトープに発生するフンや藻を掃除しないで放置すると、どうなってしまうのでしょうか?
ビオトープ内の環境バランスが取れていれば、フンや藻はバクテリアや水生生物によって分解されるので、そのまま放置しておいて構いません。
しかし、バランスが崩れているとフンや藻は分解されないため、底砂にフンが堆積し藻が大量に発生してしまいます。
特に、立ち上げて間もないビオトープの場合はバクテリアがあまり定着していないため、フンが分解されにくく、藻が発生しやすい傾向にあります。
フンが大量に蓄積していくとビオトープの水質は悪化し、生体にも悪影響を与えてしまいます。
また、藻はある程度なら許容範囲ですが、大量に発生してしまうとこれもまた様々な問題を起こすようになります。
よってこのような場合には、フンや藻を掃除して取り除くようにして下さい。
その上で、ビオトープ内の環境バランスが整うように、生体の数や餌の量などを見直して改善するようにしましょう。
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ビオトープを掃除しないでも良好に保つ方法
ビオトープは環境が整えば掃除する必要はありません。足し水だけで管理ができます。
しかし、環境バランスが崩れているとフンが分解されずに富栄養化が起こり、藻が大量発生してしまうため、頻繁に掃除しなくてはいけなくなってしまいます。
では、掃除しないでビオトープを良好に保つにはどうすれば良いのでしょうか?
ビオトープの環境バランスを良好に保つための条件として、次のようなものが挙げられます。
- 大きめの容器で飼育する
- 底砂を敷いて濾過バクテリアを十分に定着させる
- 生体を少なめにする
- 餌は少なめに与える
- 水草などの水生植物を多めに入れる
- ヌマエビやタニシなどの水生生物を入れる
ビオトープ容器はなるべく大きなものを用意します。
なぜなら水量が豊富な方が環境が安定しやすいからです。
水量が少ないと気温の影響を受けやすく、水温の変動が激しくなります。
また、雨の影響も受けやすくなります。
まとまった雨が降ると簡単に水質が変わってしまい、その影響でバクテリアなどが死んでしまうことがあるのです。
これではせっかくビオトープの環境を整えても維持することが難しくなってしまいます。
掃除の必要が無い良好な環境を長く保つために、なるべく水量がたくさん入る容器を選びましょう。
ビオトープを掃除無しで良好に保つために重要なのが濾過バクテリアです。
濾過バクテリアが十分に定着し、生物濾過がしっかりと機能すれば、掃除や水換えの必要性がほとんどなくなります。
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濾過バクテリアの定着・繁殖に必要なのが底砂です。
表面に細かい穴がたくさん空いている多孔質なものほど、濾過バクテリアが定着・繁殖する住処として適しています。
多孔質でビオトープの底砂におすすめなのが赤玉土です。
赤玉土のサイズには大、中、小とありますが、水草が根を張りやすく使い勝手が良いのは中サイズの赤玉なので、そちらをおすすめします。
もちろんソイルや水生植物の土なども同様の理由からおススメです。
ビオトープに導入する生体の数は少なめにしましょう。
ビオトープの代表的な生物はメダカです。
水草が繁ったビオトープ内を楽しそうに泳ぐ姿はとても可愛らしく、ついついたくさんの種類のメダカを飼育してみたくなります。
ですが、過密飼育にならないように少なめの匹数に抑えましょう。
メダカなどの生体数が過剰に増えると、糞などの排出物が増え、濾過バクテリアと有機物のバランスが崩れてしまいます。
するとビオトープ内の環境バランスも崩れるため、掃除無しで飼育環境を保つ事が難しくなります。
水1リットルに対してメダカ1匹以下を目安に飼育するようにしましょう。
もちろん生体の数は少なければ少ないほど水は汚れにくくなります。
しかし、メダカなどの生体を全く入れていないビオトープではボウフラなどの害虫の発生が懸念されます。
また生体の糞は濾過バクテリアの餌となり、その後、植物の栄養となっていきます。
ビオトープの生態系を作り上げるうえでもメダカなどの生物の存在は必要となってきます。
メダカなどの生体に餌を与える場合には、頻度と一回量を少なめにします。
通常、ビオトープでメダカなどの生体を飼育する場合、餌は与えなくても問題ありません。
何故なら屋外に設置するビオトープ内には、植物性プランクトンや微生物、蚊の幼虫のボウフラなど、メダカの餌が自然に発生するからです。
しかし、これら天然の餌が十分に発生していない場合や、メダカを積極的に繁殖させたい場合には、人工飼料などの餌を定期的に与える必要が出てきます。
この時、餌の与えすぎには注意が必要です。
餌をたくさん与えると糞などの排泄物の量が増えますし、食べ残しが出て水底に堆積する事もあります。
これら糞や食べ残しの量があまりに増えてしまうと、濾過バクテリアだけでは分解しきれず、ビオトープ内が汚れてしまうため、掃除が必要になってしまいます。
メダカが成魚サイズであれば、1週間に2~3回程度の給餌で十分飼育する事が可能です。
ビオトープ内の環境を維持するために、餌は極力少なめに与えましょう。
生体数や餌の量は少なめが良いですが、水草は多めに入れたほうがビオトープの環境は安定しやすくなります。
水草は水中の有機物から発生する有害物質や養分を栄養素として吸収してくれます。
これにより水の富栄養化が防げるので、水が汚れにくく、コケも生えづらくなります。
特に、成長の早い水草は栄養を大量に吸収してくれるので水の浄化作用が高いです。
マツモやアナカリス、ホテイアオイなどの成長が早い水草がおすすめです。
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また、ヌマエビやタニシといった生体を導入することも、ビオトープ内を掃除無しで良好に保つのに役立ちます。
ミナミヌマエビはビオトープの環境に慣れればどんどん繁殖してコケを食べて掃除してくれます。
さらにおすすめなのがタニシです。
タニシはコケだけでなく、フンや生体の死骸などなんでも食べて綺麗にしてくれます。
タニシの有効性はこれだけでなく、水を浄化してくれる素晴らしい働きもあります。
濾過摂食と言い、水中の養分や植物性プランクトンを濾し取って食べ、水を綺麗にしてくれるのです。
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これらミナミヌマエビやタニシのような掃除屋は、ビオトープを良好に保つのにとても役立つのでおすすめです。
以上のように、ビオトープ内の環境バランスを整えるようにすれば、掃除をしなくても良好に保つ事ができます。
ビオトープの底床掃除の仕方
環境が整っているビオトープの場合、基本的に底床の掃除は不要です。
しかし次のような場合は底床の掃除が必要になります。
- 立ち上げて間もないビオトープ
- 立ち上げて何年も経過したビオトープ
それぞれの底床掃除の仕方をご紹介します。
ビオトープを立ち上げてから環境が安定し始めるまで1~2ヶ月程度かかります。
それまでの期間は濾過バクテリアがあまり繁殖していないため、糞などの汚れが底床に堆積しやすい状態ですので掃除が必要になります。
底床に糞などの汚れが溜まってきたのが見られたら、プロホースなどのホースで汚れを吸い出して掃除してください。
この時、ガシガシと力を入れて掃除する必要はありません。
底床をかき混ぜてしまわないように、表面の汚れを吸い出すように優しく掃除して下さい。
1~2ヶ月経って濾過バクテリアが定着して環境が安定すると、糞などの汚れが目立たなくなるので、そのようになったら底床掃除は不要になります。
ビオトープは人工的に水辺の生育空間を作り出したものなので、自然とは違いその環境バランスは長く保ちません。
数年程度経過すると環境バランスが崩れ始めることがあります。
そのような時にはビオトープをリセットする必要があります。
この時のリセットの仕方は次の通りです。
- メダカなどの生体や水草を別容器に移す
- 底床を全てかき出す
- 容器を水で丸洗いする
- 元の底床もしくは新しい底床を入れる
- 水を入れて生体と水草を戻す
まずはメダカなどの生体と水草を別容器に移します。
この時、水草が伸びすぎていたり枯れた部分があればトリミングしておきましょう。
次に底床を全てかき出します。
底床はビオトープの水を汲み置きしておき、その水で濯ぐように汚泥を取り除きます。
この時、水道水などで洗ってしまうと折角繁殖したバクテリアが死滅してしまいますので気をつけましょう。
容器は水で丸洗いしましょう。
この時くれぐれも洗剤は使わないように。
水とスポンジだけで汚れを落としてあげれば十分です。
洗い終わった容器は天日干しして乾かしておくと、雑菌などが殺菌されるのでより清潔です。
容器を洗って乾かしたら底床を入れます。
容器に底床を敷いたらカルキ抜きした水を入れ、水草とメダカなどの生体を戻します。
水草はそのまますぐに入れて構いませんが、メダカなどの生体は水合わせしてから入れるようにすると安心です。
リセットして水質や水温が変わっているので、丁寧に水合わせしてからビオトープに戻しましょう。
以上がビオトープの底床掃除の仕方です。
環境が整ってしまえば底床掃除や水換えは不要なので、あまり掃除をする機会はありません。
この管理のしやすさもビオトープの魅力の一つです。
ビオトープの掃除まとめ
- バランスが取れていないビオトープではフンや藻を掃除しないとどんどん増える
- ビオトープを掃除無しで良好に保つには生体数や餌を少なめに管理する
- ミナミヌマエビやタニシはビオトープを良好に保つのに重要な水生生物
- ビオトープの底床掃除はリセット時と環境が安定するまでの間だけ行う
今回はビオトープの掃除に関する疑問についてご紹介しました。皆様のビオトープ管理の参考にしていただけると幸いです。
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