初心者でも作りやすい有茎水草レイアウト 植え方とトリミングの方法
多くの水草の中でも有茎水草は種類が多く、その色彩や形状が豊かなのでレイアウトに取り入れることで華やかな水景を簡単に作ることが出来ます。
明るいライトグリーンから落ち着いた緑、黄色味を帯びる緑など緑色一つとっても様々な色合いがあり、赤系水草をうまくアクセントとしてレイアウトに取り入れることで赤系水草と緑色の水草が互いに引き立てあう水景が出来上がります。
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有茎水草の多くは生長が速いので、水草の生長とレイアウトの変化を常に感じられる楽しみが有茎水草を主としたレイアウトにはあります。
ただ、その反面、水草が元気に生長すればするほど、トリミングや肥料管理などの世話は増えますが、それもまた水草育成の楽しみの一つと捉えると苦ではないはずです。
また、水槽の中では水草の生長の速さ=栄養吸収=水質浄化能力となるため、有茎水草のように生長の速い水草を多く植えたレイアウトは水質が安定しやすいので初心者にもおすすめのレイアウト手法です。
水質の安定は水を輝かせ、水草レイアウトの観賞効果を飛躍的にアップさせます。水草の生長が鈍く、水質が安定していない水槽と水草の生長により水質が安定している水槽では一目でその違いに気が付くはずです。
有茎水草レイアウトのコツ
有茎水草だけを使用したシンプルなレイアウトでも流木レイアウトや石組みレイアウトなどと同じようにやはり作成前の構図検討は必要となります。
水槽サイズに対して何種類の水草を使うのか、どの水草をどのあたりに配置するのか、どのような形状(色合い)の水草を使うのかなど。
有茎水草の中でも前景向きの種類は、生長が緩やかで葉があまり大きくならないものがおすすめです。
生長が速い水草を前景に植えるとすぐに水面に達してしまい、後景の水草がほとんど見えず、水景に圧迫感を感じてしまいます。
また、大きな葉を付ける水草も同じく、レイアウト前面に大きな葉が密生するとそれもまた圧迫感を与えてしまう要因となります。
緩やかな生長速度や背丈を考えるとバコパ・モンニエリやロベリア・カージナリス、ブリクサショートリーフなどが前景に向いている有茎水草となります。
ブリクサショートリーフはその形状からロゼット型水草と勘違いされることもありますが、下葉をカットしていくと、詰まった節があり有茎水草であることがわかります。
有茎水草なのでランナーやシュートなどを出して、あちこちに子株を増やすこともないのでレイアウトを維持しやすい水草でもあります。
水草水槽の前景種の定番ともなっているグロッソスティグマも実のところは有茎水草に属していますが、ここではグロッソスティグマは別物として扱います。
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レイアウトに使う水草の種類と数
レイアウトの構図を検討するうえでは何種類の水草を使うのかを決めることも大切です。
60cm水槽を例に挙げると、2、3種類の有茎水草だけでは少々レイアウトが寂しいものとなりますが、20種類でレイアウトを作れと言われると逆に雑然とし過ぎてレイアウトのまとまりがなくなってしまうものでもあります。
水草レイアウト熟練者であれば、個々の水草の特徴を理解してレイアウトを作成することも可能かもしれませんが、個々の水草の生長スピード、生長ボリューム、匍匐性、葉の大きさ、形状など様々な要因を考えなければならないためビギナーの方にはあまりおすすめできません。
よって理想的な種類数は10種類程度となります。
その中で自分が育ててみたい水草を厳選して取り入れてみましょう。
また同じ種類の水草は一か所にまとめ植えすることで、有茎水草の持つ群生美を引き出すことが出来ますので、マヤカやパールグラスなどのように細い水草であれば最低でも20本程度、ウォーターバコパのように太い茎を持つ水草でも10本程度はあると見栄えのするレイアウトが作りやすくなります。
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有茎水草の植え方
有茎水草を植える時には水上葉でも水中葉でも植え方に大きな違いはありません。
まずは同じ種類の水草の頂点(先端)を合わせ下の方をカットして長さを揃えます。
長さがバラバラのまま植えるとレイアウトにまとまりが出ないため、ある程度長さを合わせることで一体感が生まれます。
次に下葉をカットします。
下葉は葉が密生してくると陰になり、やがて枯れてしまうため前もってカットしておくことで水質の悪化を防ぎます。
また下葉をカットした節の部分が底床内でひっかかりとなって水草を抜けにくくする効果もあります。
ソイルなどに植える際には水草を数本まとめてピンセットで掴み、そのまま差し込みます。
ソイルの厚みが無く、あまり深く植え込めない場合には、浮力のある水草などは植えても浮いてきてしまうことがあります。
そのようなときは水草を植える部分だけでもソイルを厚めに敷く、もしくは前景から後景にかけて傾斜をつけて後景部分のソイルを厚めにしておくなどの方法を取り入れます。
有茎水草のトリミング
有茎水草を多く取り入れたレイアウトでのトリミング作業は、レイアウトの美しさを維持するためには必要不可欠な作業です。
水草のトリミングにはレイアウトの見た目を維持する効果の他にも様々な効果があります。
生長し過ぎて他の水草に影を落とし、光合成を阻害してしまう葉があればカットしなければなりません。
密生し過ぎて通水性を悪くしていれば程よい数に間引き通水性を確保しなければなりません。
通水性の悪さはコケの発生原因にもなります。
枯れた葉や茎は水質悪化の原因となりますので、こまめにカットして取り除かなければなりません。
古い葉にはコケも付着しやすいので早めにカットすることでコケの蔓延を防ぐこともできます。
ある程度伸びた茎を途中からカットすることで新芽を数本出させボリュームある群生美を作るピンチカットなどもトリミングの一つの手法となります。
このようにトリミングには様々な目的と効果がありますのでレイアウト維持には必ず必要となる作業なのです。
そんなトリミング作業をおこなう際にも気を付けなければいけない点が幾つかあり、その注意点とは水草のカット方法とカット位置です。
ウィローモスなどのコケ植物では極端な話、どこをどのように切っても問題なく生長しますが有茎水草の場合にはカット方法やカット位置に注意しないとトリミングをおこなったことによって生長を鈍らせてしまうこともあります。
まず、カット方法はできるだけ鋭い(切れ味の良い)ハサミを使い、水草の細胞を潰さないようにカットすることです。
切れ味の悪いハサミで水草を潰すようにカットしてしまうとカットした部分が腐りやすく、トリミングをおこなった箇所から溶けるように黒ずんでしまうことがあります。
また水槽内に密生した水草の中で自分のカットしたい部分だけをうまくカットするのは普通のハサミでは意外と難しいものですので、水草トリミング専用のハサミを使うと良いでしょう。
次に有茎水草のカット位置ですが、葉をカットする場合にはできるだけ葉の根元でカットするようにします。
種類によっては葉を下に引っ張るだけで葉がとれる水草もありますが、無理に手でむしり取ると茎の表面に傷をつくってしまうこともありますので、できるだけハサミでカットするようにします。
茎をカットする場合にはカットする部分によってカット位置が変わってきます。
ピンチカットのように上部をカットして下の茎を残す場合にはカットしたい高さにある節のすぐ上でカットします。
逆にカットした水草を差し戻して使う場合には一番下の節の真下でカットするようにし、下から2番目くらいまでの葉をカットして差し込みやすくします。
有茎水草は節目から葉や根を展開するため、節目より先端は時間の経過とともに腐るように枯れてしまうのであまり長く残すメリットが無いのです。
逆に長く残した先端は腐り、水質悪化の原因となってしまいます。
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トリミングで余った有茎水草の水上化 水上葉
有茎水草は生長が速い=トリミングで余る水草も沢山のはずです。そんな水草をそのまま捨ててしまうのは非常に勿体ないものです。
有茎水草のほとんどの種類は水上栽培も可能で簡単に水上葉を育てることができます。余った水草を使い、有茎水草の水上栽培を楽しんでみてはいかがでしょうか?
水槽の中で見せる水中葉の姿と水上で見せる水上葉の姿の違いに驚かされる種類もあれば、綺麗な花を咲かせる水草も沢山あります。
また、季節や置き場所の違いによる太陽光の強さの差による生長度合いや葉の形状の違いなど、水草育成の勉強にもなり、水槽内で水草を上手に育てるためのヒントにもなります。
水槽レイアウト、水上栽培ともに沢山の魅力がある有茎水草育成を楽しんでください。
次にどの種類の水草を育てようかな・・・などと少しずつ新しい種類の水草を取り入れるのも水草育成の楽しみの一つかもしれません。
今回は有茎水草のレイアウトとトリミングについてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。