グロッソスティグマの水上栽培 水中葉から水上葉へ
水草水槽の前景にレイアウトされることの多いグロッソスティグマ。
うまく育たなくコケだらけになってしまったり、茶色くなってなかなか生長しないなどのトラブルに見舞われてしまったらどうしますか?
そのまま抜き取って捨ててしまうのは勿体ない。
そんなグロッソスティグマを使って水上栽培に挑戦してみてはいかかでしょうか。
グロッソスティグマの水中葉から水上葉への移行方法をご紹介いたします。
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上手く育たなかったり、コケだらけになってしまったグロッソスティグマの対処のみならず、水槽の中で順調に育って増えすぎたグロッソスティグマのトリミング時にカットしたグロッソスティグマを使って水上栽培を楽しむのも面白いものです。
水槽の前景草の定番として知られているグロッソスティグマは実は水上栽培が簡単な水草の一つで、水上でも水中とほとんど変わらない丸みを帯びた葉を展開します。
グロッソスティグマの水中葉から水上葉へ
グロッソスティグマの水中葉から水上葉への移行は、さほど難しいものではありませんが、やはり気をつけなければいけない点があります。
それは温度・湿度・日当たりです。
どんな植物にも好む環境があるようにグロッソスティグマにも活発に生長する環境というものがあります。
水中から水上へと環境が変わる訳ですからグロッソスティグマにとっては大きな環境の変化ですので、出来るだけ最適な環境を整えてあげる必要があります。
ある程度、根付いて生長している水上葉であれば耐えられるような環境でも水中葉から水上葉への移行時には、上手く生長できないこともあります。
水槽の中ではヒーターや照明器具を使った育成をするため、一度それらの器具を設置してしまえば、あまり気にかける要素ではありません。
しかし、水上栽培では季節ごとに常に変化する環境に気を配らなければならないのです。
水上栽培に適した時期と温度
グロッソスティグマを水上栽培する際に、水上葉への移行が成功しやすい時期というものがあります。
それは気温や湿度がグロッソスティグマの好む環境に近づく春先や秋口です。
グロッソスティグマの好む温度帯は20℃〜28℃くらいになるため、桜の咲き始める春先から夏の終わりくらいが最適期となります。
ただ、真夏は日差しが強すぎ、気温の上昇も激しいため適切な管理をしなければ、逆にグロッソスティグマにとっては過酷な環境になりかねません。
例を挙げると強すぎる日差しは遮光ネットなどで和らげ、水分の過剰な蒸発が無いように水やりや霧吹きをこまめに行う、室内や温室の場合には蒸れにも注意するなどです。
冬場は言わずと知れた低温、低光量ですのでやはり水上栽培には不向きな季節となります。
水上栽培方法と注意点
グロッソスティグマの水上栽培を行うには、容器と土を用意します。
土は赤玉土だけで問題ありませんが、ソイルなどがあればソイルを利用するのも良い方法です。
容器はいろいろなものが利用できますが、それぞれに一長一短ありますので、長所と短所を理解して使いこなすようにします。
グロッソスティグマの水上栽培を成功させるコツの一つがこの容器の選択であるとも言えます。
容器に使えるものには、植木鉢、ガラス瓶、タッパーなどがあります。
植木鉢は植物を育てるために作られたものですので、使い勝手はよいのですが、蓋などが無いので、気温の低い時期には生長が鈍ります。
さらに湿度の維持も難しいので天気によって置き場所や水やりに気を配る必要があります。
ガラス瓶はジャムなどの大きめの口のものを使うと作業がしやすくなります。
ガラス瓶は蓋ができるため、湿度や温度が保ちやすいので植木鉢に比べると低温期でも生長が良くなります。
また、透明度も高いため、光もしっかり入りますのでグロッソスティグマの光合成を妨げることはありません。
ガラス瓶のデメリットとしては、どうしても瓶の大きさに制限があるため、あまり沢山のグロッソスティグマを育てることができないことです。
また、気温が高い時期には密閉度の高さゆえに蒸れてしまうこともありますので、気温の高い時期には蓋を開けて蒸れを防ぐなどの管理が必要となります。
タッパーはガラス瓶と同じような密閉できるため、低気温の時期には、保温効果と保湿効果が期待できます。
さらにガラス瓶よりも大きなものが多いので、沢山のグロッソスティグマをいっぺんに育てることも可能です。
タッパーのデメリットはガラス瓶に比べて遮光性が高いことです。
遮光性が高いということは太陽の光が届きにくくなるため、グロッソスティグマの光合成量が減ります。
その違いはグロッソスティグマの葉の形にも現れ、同時期に育てたグロッソスティグマを比較するとよくわかります。
どの容器でも順調に育つ季節(気温25℃程度で晴れの日が続いたものとする)では、植木鉢で育てたグロッソスティグマが一番葉が厚く、短長で、色が深い緑色になります。
日当たりの強い日が続くと茎の部分は赤みを帯び、葉は地面に張り付くようになり、水分の蒸発を防ぐような見た目になることもあります。
次にガラス瓶で育てたグロッソスティグマも同じように葉が厚く、やや短長で色合いは緑色と言った感じです。
水槽内で綺麗に育っているグロッソスティグマに一番近い姿になります。
タッパーで育てたグロッソスティグマは葉が薄く、長めになり、色合いも黄緑色と言った感じです。
どのタイプのグロッソスティグマを好むかは人それぞれですので、いろいろな方法で育ててみるのも面白いかもしれません。
他にも浅めの発泡スチロールなどでも育成は可能です。
発泡スチロールであれば底の方に穴を開けておくと排水性も確保できます。
容器と土が用意できたらグロッソスティグマの植え込みになりますが、植え方のコツは「広々と浅めに」です。
ポット入りなどのグロッソスティグマを購入した際には、ポットから取り外し、付着している土などは除去し、長めの根もカットします。
その後、グロッソスティグマの葉と葉を結ぶランナーを伸ばすように伸び伸びと土の上に広げ、軽く土を被せます。
※グロッソスティグマは正確には有茎系水草に分類されるため、茎が横に這っているものであって、ランナーでは無いのですが、ここでは見た目のわかりやすさからランナーと呼びます。
ランナーや根は土に隠れ、葉だけが土の隙間から顔を出しているくらいがちょうど良い植え方です。
グロッソスティグマの植え方には、ランナーを細かく切断して数本をまとめ植えする方法もありますが、水上栽培の場合は植えると言うよりも「土の上に敷く」イメージで植えると根付きやすくなります。
環境の変化に適応し、生長を始めたら土の中に肥料を施してあげると葉の色合いも良くなり、肉厚な葉をつけるようになります。
肥料には液肥を撒くような方法でもいいのですが、水槽用の底床肥料テトライニシャルスティックなどを軽く砕いて埋め込んであげると順調に生長します。
水上葉から水中葉(水槽)へ
ここまでは水槽の中のグロッソスティグマを水上化する話でしたが、逆に屋外で水上栽培した水上葉を水槽などに植え込み、水中葉を展開させることももちろん可能です。
水上葉は太陽光をたっぷり浴び、栄養をたっぷりと蓄えているので水槽内に植えると勢いよく水中葉を展開します。
季節によっては水中育成よりも水上育成のほうが簡単な時期もありますので、購入したグロッソスティグマを一度水上栽培で増やしてから水槽に植えこむのもいい方法です。
水上葉からの水中化はコケの持ち込みを防げるのでおすすめの方法です。
今回はグロッソスティグマの水上栽培についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。