水草アナカリス(オオカナダモ)の育て方・増やし方・植え方・レイアウト
金魚飼育やメダカ飼育でも用いられるアナカリスは丈夫で育てやすい水草として広く知られています。
そんなアナカリスでも育て方を間違えてしまうと枯れる、溶けるなどの生長障害を起こすこともあります。
このページではアナカリスの育て方や増やし方からレイアウトに用いるときの植え方・コケ対策についても合わせてご紹介いたします。
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アナカリス(オオカナダモ)の育て方
アナカリスと言えば名前を知らなくとも熱帯魚ショップやペットショップなどに足を運んだ事がある人なら必ずと言っていいほど一度は目にしたことのある水草でしょう。
アナカリス(別名をオオカナダモとも言う)はカボンバやマツモと並び金魚藻の定番となっています。
カボンバやマツモなどの金魚藻に比べると葉に幅と立体感があり綺麗に育てると透き通るような透明感のあるライトグリーンになるので水槽内のアクセントとしても活用できます。
現在では日本各地の川や池、湖などに自生しており、馴染み深い水草の一つですので日本原産に思われがちですが、実は【外来種】で南米原産水草の一つで原産地はブラジルやアルゼンチンなどの南アメリカになります。
アナカリスと良く似た水草で言うと【クロモ】がありますが、こちらは【日本在来種】になります。全国の河川域などで良く見られる水草なので、アナカリスと混合されやすい品種です。
南米原産の水草と聞くとソイルなどを用いた弱酸性の水質を好むイメージが強いですが、このアナカリス(オオカナダモ)は他の南米原産水草に比べて環境適応能力に優れており中性からアルカリ性のpHに適応し、比較的総硬度が高い水質を好みます。
逆にpHが低めな酸性の水質では、頭頂部の萎縮などを起こすこともあり、どちらかと言うとアルカリ寄りの水質を好む傾向が見られます。
また適応水温も幅広く好む水温は20℃〜28℃程度ですが、さらに低い水温でも元気に生長します。屋外での育成する際の注意点としては、凍らないように対策をしてあげましょう。凍らせないよう育成すれば屋外でも越冬可能です。
また低光量でも光合成をしっかり行えるなど非常に丈夫な水草なので、熱帯魚や水草水槽など現在のアクアリウムスタイルが確立する以前の金魚水槽やメダカなどのビオトープにも使われてきたのでしょう。
アナカリスの花を咲かせる
アナカリスは元気に育てると綺麗な白い花を咲かせる水草です。
ただ、アナカリスの花は水面より頭を出して水上で花を開かせるためアナカリスが水面まで到達していないと花を咲かせにくいものです。
さらに花を咲かせるには強い光と暖かい気温が必要ですので室内の水槽よりも屋外のビオトープの方が断然アナカリスの花を見られる機会は増えるものです。
アナカリス(オオカナダモ)の増やし方
ここからはアナカリスの増やし方について紹介しますが「増やす=元気に生長する」が大前提となります。
元気に育ってこそ背丈が伸び増やすこともできるのです。
庭先の花で考えてみてください。元気に育っているから株を殖やし立派な種を残すはずです。
その考え方は水槽の中でも同じ事が言えます。
先にも記載しましたがアナカリス(オオカナダモ)は環境適応能力に優れ、低水温、低光量、低二酸化炭素濃度でも生長しますが、綺麗に育てる目的や増やす目的であればやはり水草が光合成を活発に行う環境を整えてあげるべきで、強めの照明と多少の肥料を与えると生長スピードが早くなります。
丈夫な水草と言ったイメージが先行してしまい照明器具を設置していない室内水槽などで育成されていることもありますがやはり水草である以上光合成を行うための光は必要不可欠です。
またアナカリス(オオカナダモ)は底砂に根付かなくとも生長できる性質をもっていますので照明が弱い水槽などでは浮かせて育てた方が光を取り込みやすくなります。
一度環境が整ってしまうと生長スピードはかなり早い方ですぐに水槽水面一杯に広がりますので適度な長さにトリミングを行い差し戻しを行う事で容易に増やすことはできます。
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アナカリスの植え方とレイアウト
アナカリスは有茎系水草の一種ですので茎の途中に節ができ、その部分から葉や根を出します。
よってアナカリスを植える際には根元部分の節を2つ分ほど底床に埋め込むようにするとそこから根を出して生長します。
アナカリスを植える際に束のまま植えると抜けやすいうえに生長したときに根元が過密になり、光が当たりにくかったり、通水性が悪いなど様々な問題が出てきますので必ず1本ずつ植えるようにしましょう。
水槽などでレイアウトを作る場合には生長した時のことも考えてレイアウト後景に植えるようにします。
前景に植えるとアナカリスが生長した際に前景に密集して水槽全体に圧迫感を与えてしまいますのであまりお勧めできるレイアウト手法ではありません。
アナカリスのトリミング
アナカリスは非常に丈夫な水草ですのでトリミングによっていじけてしまうようなこともほとんどありません。
トリミング時に気を付ける点やコツとしてはあまり短く切り過ぎないことです。
水草全般に言えることですが、トリミング時に短くカットし過ぎると蓄えられるエネルギーが少ないためトリミング後の生長が一時的に止まってしまいます。
よってトリミングを行う際には適度な長さを維持しつつ行うようにしましょう。
またトリミングには少なからずカットによるダメージを受けるためアナカリスが元気なときに行うのがコツです。
成長が鈍っている冬場にはそっとしておいてあげてどんどんと生長するようになった春から秋にかけてがトリミングの適正時期と言えます。
水草が生長するにあたって下の方の葉や茎は古くなるうえに日が当たらなくなるためコケが付着しやすくなります。
よってトリミングの際はカットした先端の方を残すようにして下の方は取り除いたほうがいつまでも綺麗な水景を維持出来ます。
アナカリス(オオカナダモ)が枯れる・溶ける
アナカリスは丈夫な水草であることは間違いありませんがそれでも枯れてしまうことがあります。
なぜ枯れてしまうのでしょうか?
今一度水槽の環境を見直してみましょう。
まず一番はじめに確認しなければいけないのが光合成に必要な光についてです。
蛍光灯は設置してあります。それだけではアナカリスは育ちません。
蛍光灯が設置してありアナカリスが光合成を行うのに適した光量や時間が管理されていることが必要なのです。
生き物にはライフサイクルがあり朝になると光を浴びて夜になると暗くなる。
このライフサイクルを正常に保ってあげるためにも蛍光灯の点灯時間を意識しなければなりません。
蛍光灯は水槽の管理者が水槽内を観賞するために設置してあると思われがちですが水草を入れる場合には少々考え方を変えなければいけません。
朝になったら点灯させて夕方には消すと言ったように一日の点灯時間をしっかり管理し1日8時間~12時間の点灯を心がけましょう。
もし仕事の都合などで不規則な管理になってしまうようでしたら蛍光灯の点灯時間を管理できるプログラムタイマーなども販売されていますので利用してみるのもいいかもしれません。
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点灯時間の管理が出来たら次は蛍光灯の照度管理です。
蛍光灯の寿命はものにもよりますが1年程度とされています。
家の照明のように切れてから交換するのではなく徐々に明るさを失っていきますので定期的に新しいものに変えるようにしましょう。
また近年では蛍光灯に変わりLEDライトが主流となりつつありますのでLEDライトを使用すれば蛍光灯のような経年劣化による照度不足を心配することはなくなります。
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光の管理ができたら次は水質の管理になります。
水草が生長するためには水槽内のろ過バクテリアと切っても切れない関係が存在します。
水換えの時に水槽を綺麗に洗って水を全交換したり、水道の水を直接水槽に投入するような管理をされている方は一度水質管理について確認してみてください。
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アナカリス(オオカナダモ)は貧栄養価でも育成可能な水草ゆえに熱帯魚や金魚などの生態から排出される窒素分(詳しくはバクテリアの分解過程などがありますが)を主な栄養素として生長しますが、ほとんどの水槽では水草が必要とする量よりも過剰となり茶色いコケの発生原因となってしまいます。
またアナカリスが元気に生長していない水槽などではさらに過剰となった窒素分が茶色いコケを増殖させてしまいます。
そのような時はミナミヌマエビやオトシンクルスなどの生物兵器を投入することによりコケ対策をしましょう。
ここで注意が必要ですがアナカリスを育てている水槽にどのような生態を飼育しているかによってその対応も変わってしまいます。
もし金魚飼育をしているのであれば金魚の口に入ってしまうようなヌマエビなどは混泳させることはできませんので混泳に際には相性も確認してから入れるようにしましょう。
今回はアナカリスの育て方についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。
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