水槽に白い膜や消えない泡!?油膜の原因と水槽への影響や害
水槽の水面に白い膜が張り、エアレーションなどの泡が残ることがあります。
アクアリウムではこの白い膜のことを「油膜」と呼び水槽の状態が良くないサインでもあります。
油膜を放置すると水槽環境をどんどん悪化させてしまうので危険です。
油膜はなぜ発生するのか?
この白い膜は水槽にどんな影響や害を与えるのか?
油膜の発生原因と水槽に与える影響や害についてご紹介いたします。
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水面に泡が残る理由と白い膜の正体
水面に泡が残る理由は水中から酸素や二酸化炭素が空気中に逃げられなくなっているからです。
通常、水面では酸素や二酸化炭素が水中から空気中に放出されたり、逆に空気中から水中に取り込まれたりするガス交換が行われています。
しかし油膜が張ることにより水中から放出されるはずの酸素などが油膜によって水面に取り残されてしまうのです。
そのような現象を起こす油膜とはどのようなものなのか?
油膜の正体についてもご説明いたします。
油膜の主成分はタンパク質と言われており、餌の食べ残しや生体の死骸などから生成され水面に蓄積していきます。
その量が過剰になると白い膜のようになり目に見えるようになるのです。
油膜の発生原因とバクテリアの関係
なぜ油膜が発生してしまうのか?
油膜の発生原因についてさらに掘り下げていきましょう。
油膜の発生原因は先に述べたように水槽内のあらゆる物質から生成されるタンパク質が原因となっています。
餌の食べ残しや生体の死骸、生体の排泄物などの有機物はバクテリアの働きによって分解されていきます。
その過程でタンパク質、アミノ酸、アンモニアなどに変化していきますが、この分解能力が追い付かないほどの量のタンパク質が一度に発生すると水中に溜まり油膜の発生原因となってしまうのです。
よって餌の与えすぎや生体の数が多い(排泄物が増える)、生体の死骸をそのまま放置している場合などに油膜が発生しやすくなります。
しかし、そのような問題が見当たらなくても油膜が発生してしまうことも多々あります。
そのような時の原因の大半はバクテリアの死滅です。
水槽内では濾過バクテリアが繁殖し水槽の水を綺麗にしてくれています。
しかし、その濾過バクテリアがダメージを受けて死んでしまうとその死骸が油膜を引き起こします。
さらに濾過バクテリアが死んでしまうと水を綺麗にする働きが弱くなり水質が悪化しやすくなります。
これが油膜が発生すると水槽の状態が良くないサインと言われる理由です。
なぜ濾過バクテリアが死んでしまうのか?
濾過バクテリアがダメージを受けてしまう状況についても考えてみましょう。
濾過バクテリアは目には見えない存在ですので水槽内で起こっている問題に気が付きにいくものですが、濾過バクテリアは実は非常にデリケートな生き物です。
急激な水質の変化、水温の変化や酸素不足などに敏感ですぐにダメージを受けて減少してしまいます。
大量の水換えによる急激な変化や夏場の高水温による酸素不足、濾過フィルターの汚れによる水流低下などもバクテリアには良くないと言われています。
よって水換えは一度に大量の水を換えるのではなく少ない量で回数を分けて行うようにすると水質と水温の急変を避けることができます。
さらに別の日に濾過フィルターの掃除を行うなど環境の変化を極力抑える日々の管理が重要となってきます。
また、夏場には高水温対策はもちろんのことエアレーションによる酸素供給を行うことで酸欠を防ぐことができます。
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水草のトリミング後に発生する油膜
日々の水換えなどとはあまり因果関係がなく、水草のトリミングによって油膜が発生してしまうこともあります。
これは一度に沢山の有茎系水草などをトリミングした時などに起こりやすい症状です。
水草のトリミングによって起こる油膜のメカニズムは以下のようになります。
水槽内で沢山の有茎系水草が元気に気泡を上げて光合成を行なってる場合、その水草の量に見合った二酸化炭素を添加しているはずです。
そしてその二酸化炭素を利用して多くの酸素が水草によって作り出されています。
そのような水槽でトリミングを行うと水草の量は一気に少なくなります。
水草が少なくなるということは光合成に使われる二酸化炭素の量も減りますので今まで通り二酸化炭素の添加をしていたら水槽内は二酸化炭素過剰になってしまいます。
二酸化炭素が過剰になり、酸素の生成が減った水槽内は今まで保たれていたバランスを崩しバクテリアがダメージを受けてしまうのです。
そのようなことにならないようにトリミングは一度に沢山行わず、何回かに分けて行うと良いでしょう。
また、トリミング後は二酸化炭素の添加量を抑えるなどして二酸化炭素過剰にならないようにしたり、夜間エアレーションに加えて日中もエアレーションを継続して水中の酸素量を確保するとバクテリアのダメージを防げます。
油膜が出続けたまま水草が光合成を行うとまた違った問題が出てきてしまいます。
油膜が水槽に与える影響と害
油膜が発生すると水槽に悪影響があるのか?
油膜は見た目の問題以外にも水槽に悪影響を与えることがあります。
油膜が大量に発生するとタンパク質の膜が水面を覆い水面からのガス交換が出来なくなるため昼は二酸化炭素過剰になり、夜は酸素が入ってこないので酸素不足になりやすいものです。
水槽内は水面からのガス交換によって常に水中の酸素量や二酸化炭素量を調整していますが、そこに蓋をしてしまうのと同じことです。
そうなると自然の仕組みに反する状態となりやすいため、さらにバクテリアにダメージを与えてしまいやすい環境となってしまいます。
そのようなことにならないように油膜が発生しないような日々の管理ともし油膜が発生してしまったらすぐに除去することを心がけましょう。
油膜の成分の大半はタンパク質ですので除去しないでおくといずれアンモニアへと変化していきます。
アンモニアが水槽内の生体にとって非常に有毒な物質であることは多くの人が知る事実です。
油膜の発生→アンモニアの生成→酸欠とアンモニアによる両方の問題→生体の死へと繋がってしまいます。
これが油膜が水槽に与える最大の影響と害です。
油膜の発生原因と水槽への影響・害まとめ
- 油膜の主成分はタンパク質。餌の食べ残しや生体の死骸から生成される。
- 通常はバクテリアによって速やかに分解されるが、大量のタンパク質が放出されると処理しきれない。
- 過剰に生成されたタンパク質は水面に集まり白い膜を形成する。
- 油膜は水面でのガス交換を妨げるため水中の酸素量が不足することもある。
- 水草のトリミング後など水槽の環境が変わる時に油膜は発生しやすい。
- 水換えなどによる大きな水槽の環境変化を避けるようにする。
今回は油膜の発生原因と水槽への影響についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。