リシアの上手な育て方 リシアの沈め方・コケ対策・トリミング
リシアの上手な育て方からリシアを沈めて育てる時の方法や注意点、コケ対策やトリミング方法までリシア育成に関する情報をご紹介いたします。
学名:Riccia fluitans
適応水質:弱酸性~弱アルカリ性 軟水~弱硬水
適応温度:17℃~29℃
育成難易度:普通
二酸化炭素添加:必要
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リシアを上手く育てるコツは高光量とco2の添加
リシアは水槽に緑の絨毯を敷き詰めたようなレイアウトを作り上げることができる水草で、その水草絨毯に眩いばかりの気泡を抱いた姿に目を奪われない人はいないでしょう。
リシアは分類学上ウキゴケ科に属しており、地中に根を張ることはなく自然界ではほぼ水面に浮遊して生息しています。
自然界では水面に浮いているため水中よりも多くの光を受けることができ、必要な二酸化炭素も空気中から取り入れられたのですが、アクアリウムにおいては水中に沈めて使用するという無理を押し付けている面があります。
そのような環境から水中でうまく育てるには水上と同じように高光量の確保と豊富な二酸化炭素の添加が必要となってきます。
リシアは一度水質に慣れてしまえば生長が早いのでその分多くの栄養を要求してきますが、根を張らないため肥料分は液肥での投入が効果的です。
肥料要求量や光の要求量が多いために肥料不足を起こすと葉が色あせた感じになり、光量不足では鮮やかさを失います。
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リシアはco2無しで育つのか?
リシアはco2無しで育てることができるか?
多くの人が一度は考える疑問ではないでしょうか。
結論から言いますと植物は成長のための光合成を行う際に必ずco2を必要としますのでリシアに限らず全ての水草はco2無しでは育ちません。
ただ、co2の添加をしなくても水槽内のco2は0ではありませんのでその微量なco2を利用してリシアは育つことが出来ます。
co2添加と無添加の違いについては後々お話ししますのでまずはco2の必要性についておさらいしておきましょう。
植物は自然の工場みたいなものです。
わかりやすく考えるために「光は電力」「co2は材料」とします。
電力がしっかりあっても材料が少なければ生産量は少なくなってしまいます。
逆にco2が沢山あっても電力となる光が少なければやはり生産量は増やせません。
水草の光合成にはこのように光とco2のバランスが大切です。
水草の光合成で言うところの生産量が多ければ水草は鮮やかな色合いになり気泡をたくさんあげるようになります。
光合成の副産物である酸素を大量に出すと言うことはそれだけ成長に必要な栄養も大量に作られているため水草は元気に成長します。
co2無しとco2添加有りの違い
co2添加を行なっている水槽と行なっていない水槽では育ち方の違いや様々な問題点があることも理解しておきましょう。
co2を適切に添加している水槽では
- 水草の成長スピードが早まる
- 色合いが鮮やかになる
- 葉に艶と厚みが出てくる
- 丈夫に育ち菌類などに侵されにくくなる
co2が少なければ水草の状態も最高の状態にはならないためほどほどの状態になります。
このほどほどの状態とは成長はするけれども色合いが薄れたり成長スピードが遅くなったり、葉が薄くなってしまったりと見た目の違いに現れます。
水草育成者本人がどのような状態を求めているのかによって水草が成長していると言った判断基準は変わってきます。
ゆっくりでも育っていれば良しとするか、リシア本来の綺麗な姿で生き生きと育てるかは水槽を管理する方の考え方次第でしょう。
よってリシアはco2なしでも育ちますが、簡単かつ綺麗に育てるにはco2添加が必要というのが本当の答えかもしれません。
また水槽内のco2量は水草の見た目に影響を与えるだけではなく水質にも影響を与えます。
水草の成長不足は水質浄化能力が低下するため水槽内の窒素やリンの消費も必然的に減ります。
そうなると余った栄養分はコケにまわってしまうためリシアがコケに見舞われやすくなるのも事実です。
このような環境ではリシアの成長以外にコケ対策についても考えなければなりません。
こう考えると水草水槽におけるco2添加の有り難みを強く感じるものです。
リシアはco2添加無しでも育つけれどもできれば綺麗な状態で育てたいと思うのはアクアリストなら当然のことでしょう。
そのためにはできる限り水槽内のco2を維持する管理をお勧めします。
co2は添加システム以外でも補える
co2添加システムが準備できなくても水槽管理者の知識と経験によって水槽内のco2濃度を高めることはできます。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
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リシアは植えるではなく沈める リシアの沈め方
先にも紹介しましたが、リシアは浮きゴケであり根がありませんので植えるのではなく、沈めて育てることにより前景水草のように扱うことができます。
リシアを綺麗に育てるコツは購入後すぐに沈めてしまうのではなく、水面に浮ばせておくことで元気を取り戻しながら水槽の水質に慣れさせ、ある程度生長が見られてから水中に沈めるといいでしょう。
沈める方法はリシアネットにいれ、かぶせるように沈めるかもしくは小石などに縛り付ける方法などがあります。
リシアネットはショップなどで購入できますので購入後、写真のように少量のリシアを入れ、かぶせるように底砂に置いておくことで少しずつリシアが生長しネットの隙間から上に向かって伸びてきます。
うまく育てるコツはネット内にたくさんのリシアを入れないことで、初めからたくさんのリシアを詰めてしまうと通水性が悪くなったり、リシア全体に光が届かなくて枯れてしまうリシアが出てきてしまいますので少量のリシアでのびのびと生長させるようにします。
はじめのうちはリシアネットが見えていて見た目はあまりよくありませんが二酸化炭素の添加と高光量の確保で数週間すれば緑の絨毯ができあがります。
しかし鮮やかな緑の絨毯を長期的に維持するには定期的なメンテナンスを欠かすことができません。
リシアはウキゴケ科に属するように浮力をもっていますので生長して量が増してくるとその浮力もかなりのものになってきます。
そしてそのまま放置をしておくといつかはネットごと浮き上がってしまい、気がつくと水面を漂っていたなんてこともあります。
リシアが浮いてしまわないように定期的にトリミングを行う
ある日突然リシアがリシアネットごと水面にぷかりぷかりなんてことにならないようにするには定期的にトリミングをおこないリシアのボリュームを抑える必要があります。
リシアのトリミングは特にどの部分をカットするといった決まり事はなく、レイアウトを崩さないように細目にカットしていくといいでしょう。トリミング時には細かなリシアの破片がどうしてもでてしまいます。
その破片がフィルターに吸い込まれると目詰まりの原因になりますのでトリミング時は一時的にフィルターを止め、ネットですくったりホースで吸い出すようにしてリシアの破片が残らないようにしましょう。
リシアのコケ対策
リシアには高光量と豊富な二酸化炭素そして液肥が効果的ですがそのような環境はコケの繁殖にも適した環境となるため一度コケが発生しだすとやっかなことになってしまいます。
そのためにはコケ対策ようにメンテナンスフィッシュやエビ類などをタンクメイトとして入れておくといいでしょう。
リシアと相性のいいエビはビーシュリンプやミナミヌマエビなどで特にレッドビーシュリンプの紅白とリシアの鮮やかな緑と気泡の組み合わせは素晴らしいものがあります。
ミナミヌマエビはビーシュリンプよりもコケの掃除能力に優れる面やビーシュリンプよりも丈夫な面で重宝するエビと言えるでしょう。
またサイアミーズフライングフォックスやオトシンクルスなどもコケ対策フィッシュとして入れておくといいかもしれません。
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リシアに変わる前景水草
ここまではリシアの育て方についてご紹介してきましたが、ここからは水槽内でのリシアの存在価値について触れていきましょう。
リシアは今より20年以上前からアクアリウムで使用できる水草として販売されていました。
当初は前景で宝石のように煌びやかな気泡をつけるリシアの姿に憧れて水草水槽を始めるアクアリストも多かったものです。
しかし、リシアの特徴の一つでもある浮力の問題から長期的なレイアウト管理が難しいなど世話のかかる水草としても知られていました。
当時はそれでも選択肢の少ない前景水草の中では断トツの人気を誇っていたのですが、近年の水草ブームの煽りを受けて多くの前景水草が販売されるようになり、リシアの人気も失われてきたと言わざる負えません。
昔の「水草を育てる」スタイルの水草育成から最近の「自然観を水槽内に作り上げる」といったネイチャーアクアリウム志向に変わりつつある水草の世界においてやはり自然観をだせる水草や長期育成でも管理のしやすい水草に人気が移ってきているのが現状のようです。
コブラグラスやヘアーグラス、グロッソスティグマ、キューバパールグラス、ノチドメ、ウォーターローンなど様々な前景草がある中、リシアを取り入れるメリットが少なくなったのでしょう。
今回はリシアの育て方についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。