失敗しないウォーターローンの育て方・植え方とレイアウト
前景草の中でも明るい草原のようなイメージを作り上げることができるウォーターローンですが、なかなか生長しない。
コケまみれになってしまうなどトラブルの多い水草でもあります。
そんなウォーターローンの初心者でも失敗しない上手な育て方をご紹介いたします。
[toc]
ウォーターローンの育て方のコツ
ウォーターローンの生長スピードは前景草の中では早くもなく遅くもないと言えます。
その特徴として環境に適応できればそれなりに早いですが、環境に適応できないと全くと言っていいほど育たない水草でもあります。
ウォーターローンは前景草の中ではデリケートというかわがままと言うか、好む環境に色々な条件が影響してきます。
環境適応能力が低い水草という言い方もできるかもしれません。
その理由にはウォーターローンが他の前景草と違い食虫植物の仲間であることが関係しているのかもしれません。
多くの前景草が好む底床の肥料濃度を高める方法もウォーターローンには逆効果で貧栄養下での育成の方が順調に生長することが多いものです。
よってグロッソスティグマなどを育てるイメージで底床に肥料をしっかり施してしまうと育ちが悪くなってしまうこともあります。
そのようなことからグロッソスティグマとウォーターローンを混植することはお互いに好む条件が違うので意外と難しいものです。
また、KHも低めの2以下に抑えるような環境を好むためキューバパールグラスやニューラージパールグラスのように適度な硬度の水質を好む水草ともあまり相性が良くありません。
pHは6~7程度KHは2以下の軟水を維持し、肥料はほとんど与えずソイルの栄養分だけで育てることができます。
食虫植物という性質から水中の微生物がしっかり繁殖してくると生長も良くなります。
この点については目に見えるものではないので判断が難しいですが、しっかり水が立ち上がってくれば必然的に水槽内の微生物は増え始めますので問題ありません。
また、貧栄養下を好むということは水槽内に溜まる窒素やリンの量も抑えなければなりません。
生長の早い水草をたくさん入れてある水槽であれば水草がそのような栄養分を吸収して生長してくれますが、ウォーターローンのみのレイアウトの場合にはその栄養分をほとんど消費しないため水槽内は窒素やリンが過剰になりやすくなります。
水換えの周期を増やし、常に余分な栄養分を排出する意識を持たないとコケの蔓延しやすい水槽環境にもなってしまいます。
ウォーターローンとco2添加
どのような水草でもそうですが、光合成が活発になると体内にしっかり体力を蓄え生長することができます。
ウォーターローンは環境適応能力が低いため他の水草以上に光合成を活発にしてあげて体力をつけてあげないと生長するどころか溶けたり枯れたりしてしまいます。
よってウォーターローン育成においてはco2の添加は必須と思ってください。
また、co2量を増やすということは必然的にそれに見合った光量も必要となります。
弱い光ではしっかり光合成ができないのでウォーターローンの葉が立ち上がるように育ちます。
そのような状態が見られたら照明を検討してみましょう。
活発に光合成を行える環境を維持することは水草の育成難易度を下げることにも繋がります。
co2が少ないと生長が遅くなる、環境に適応しにくくなる、コケに見舞われやすくなる。
この条件下でウォーターローンを育てるのはやはり難しいものです。
-
水草水槽のco2添加 添加量や添加時間の決め方
水草水槽のco2添加 添加量や添加時間の決め方 水草水槽ではco2(二酸化炭素)を添加すると水草が綺麗に育つ。 このことは多くの方に知られている事実ですが、いざco2(二酸化炭素)を添加するとなると添 ...
続きを見る
ウォーターローンの植え方とレイアウト
ウォーターローンは砂利でも育ちますが、ソイルに比べて育成難易度が高くなります。
よって初心者の方にはソイルをお勧めします。
もし砂利系の底床で育てるのであればKHを低く抑える工夫が必要となります。
ソイルを使用したレイアウトであれば軽く湿らせたソイルにウォーターローンを小分けにして植栽していきます。
購入時はまとまっていることが多いですが、優しく小分けにして小指の先ほどの量ずつ植え込みます。
この時、ピンセットでウォーターローンをしっかり掴み、ソイルに深く植え込みます。
ウォーターローンの頭がソイルから出るか出ないかくらいの深さまで植えてしまって問題ありません。
逆に浅すぎるとすぐに浮いてきてしまったり根張りが弱くなります。
植栽のコツはある程度の量を植えるということです。
購入量を少なく抑えて増やそうと思うことは誰しも考えることですが、ウォーターローンに関してはあまりにも量が少ないと生長が悪くなる傾向があります。
その理由ははっきり解明されていないみたいですが、多くの方の過去の事例を見ていてもウォーターローンの水槽立ち上げは多めに植えた方が成功することが多いものです。
ここにも食虫植物特有のコロニーを形成するという特徴があるようです。
ウォーターローン水槽の立ち上げ
ウォーターローンはミスト式でも水槽を立ち上げことができます。
植栽直後から水を張る水草水槽での立ち上げよりもウォーターローンの場合にはミスト式の方が立ち上げやすさがあります。
その理由が水上葉での育成は環境変化が少ないことです。
また、ミスト式は水質の影響を受けにくい。
ウォーターローンに体力をつけてから水中葉の展開を促せるなどの効果があります。
他の前景草に比べて植栽直後の環境に敏感なウォーターローンにはミスト式育成が向いていると言えるのです。
-
水草のミスト式立ち上げで注意したい照明時間・温度管理・注水タイミング
水草のミスト式立ち上げで注意したい照明時間・温度管理・注水タイミング 水草のミスト式立ち上げは立ち上げ初期のコケに悩まされることが少ないという点では非常に魅力的な水槽の立ち上げ方法です。 しかし、ミス ...
続きを見る
-
水草のミスト式トラブル対策 カビ対策・枯れる・溶ける原因はこれだ!
水草のミスト式トラブル対策 カビ対策・枯れる・溶ける原因はこれだ! 水草をミスト式で立ち上げるとコケに見舞われにくく育てやすい。 そんな情報をもとに水草のミスト式に挑戦したものの水草がうまく育たずに枯 ...
続きを見る
エビはウォーターローンを抜いてしまう
育成条件の壁をクリアしてもウォーターローンには他にも問題が起きやすい面があります。
その一つがウォーターローンは根張りが弱いのでヤマトヌマエビなどに抜かれてしまうということです。
ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは水草のコケ取り生体として頻繁に水草水槽などに投入される生体です。
多くの水草にとってそれらのエビ類はほとんど害を及ぼさないのですが、ウォーターローンに関しては根張りの弱さから引き抜かれてしまうという問題が起こります。
よってコケ取り生体としてヤマトヌマエビなどは投入しない方が良いのでコケに対しては特に注意をしなければなりません。
どうしてもコケが心配な方やコケが生えてきてしまっているという方にはヤマトヌマエビよりも力の弱いミナミヌマエビをお勧めします。
ただミナミヌマエビはヤマトヌマエビよりもコケ取り能力としては劣るということもご理解いただく必要があります。
ミナミヌマエビの方が力が弱く水草に手を出すことも少ないのでミナミヌマエビを使う。
植栽初期はウォーターローンの根張りが特に弱いのでエビ類は入れずにウォーターローンの生長が見られるようになってからコケ対策としてエビ類を入れるようにする。
コケが出ないように換水頻度を高めておく。
このことがウォーターローンをコケから守るコツです。
ウォーターローンの育て方まとめ
ウォーターローンの育て方をご紹介してきましたが、ウォーターローンは多くの前景草と比べてどこか特殊な性質を持ち合わせた水草と言えます。
そのことが「ウォーターローンの育成は難しい」としてしまっているのかもしれません。
ただ、その特徴をしっかり理解し対処すればウォーターローンは決して育成の難しい水草ではありません。
ウォーターローンの育て方のコツをしっかり掴んで綺麗なウォーターローン草原レイアウトを作り上げてください。
今回はウォーターローンの育て方のコツについてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。