ハイグロフィラポリスペルマの育て方
学名:Hygrophila polysperma
適応水質:酸性~弱アルカリ性 軟水~弱硬水
適応温度:20℃~30℃
育成難易度:非常に育てやすい
二酸化炭素添加:無くても育つ
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ハイグロフィラ・ポリスペルマは、丈夫で育てやすい赤系水草の代名詞であるハイグロフィラ・ロザエネルヴィスの原種であり、育成難易度は非常にやさしい水草です。
ポリスペルマは見た目はごく普通の水草で華やかさがあるわけでもなく、独特の形をしているわけでもありませんので水槽内のアクセントやセンタープランツとしては物足りない水草でしょう。
しかし貧栄養・二酸化炭素添加無し水槽でも元気に生長するため、どこのショップでも見かける水草育成入門種の水草でもあるのです。
ポリスペルマは貧栄養の水槽でも育ちますが定期的な肥料添加で見栄えのいい綺麗な姿に育てることもできますので多少の肥料を与えてあげたほうがいいでしょう。
ポリスペルマに与える肥料は即効性の液肥よりも根のそばに底砂用肥料を埋め込むほうが効果的です。
逆に液肥は即効性に優れるため生長を促進しますが過剰になった肥料分がポリスペルマの古い葉などに苔を生やす原因になってしまいますので極力抑えた方がいいでしょう。
ただ他に液肥を必要とする水草が同じ水槽内にあるときや密生水槽などではまた条件が変わってきますのでその都度水草の調子をみて検討することをお勧めいたします。
ハイグロフィラの生長とトリミング管理
ハイグロフィラ・ポリスペルマは非常に生長が早く条件の整った60cm水槽などでしたら2~3週間もあればすぐに水面まで達してしまいますので、水面まで達したら10cmくらいでトリミングをおこない植え替えることで容易に増やす事ができます。
このような特徴から水槽立上げ時の水質安定に一役かうパイロットプランツとしても有名です。
ポリスペルマを多めに植え、水質が安定してきたら少し育成の難しい水草を植えたりすることでソイルなどの初期の栄養分過剰によるコケの発生を抑える効果もあります。
ポリスペルマのトリミング管理には何種類かの方法があり、先に説明しました頂点から10cm程度でカットして差し戻す方法で増やす方法と逆に根本から10cm未満でカットし、新芽の展開を促すピンチカット方法があります。
どちらの方法でトリミングを行うかはカット方法のメリットとデメリットを考え行ってください。
まず先端を残して差し戻す方法は水草の頂点付近を残すためトリミングを行ったすぐあとでも見た目が悪くなりませんし元気な部分を残すため古い葉が残らず枯れた葉の処理などを行わなくても済みます。
ただ一度ポリスペルマを抜いて行うため底砂を巻き上げてしまうことで底砂に付近に含まれていた栄養が水中に舞ってしまい一時的に水中が栄養過多になることと細かい底砂が舞うことにより水が濁ることもあります。
逆にピンチカットはそのような問題は起こりませんし、カットした部分から新芽を展開させるので密生した感じにレイアウトしていくことができます。
しかし下の方の葉は古くなり枯れていく傾向がありますので、枯れた葉は早めに取り除くこととカット後すぐは見た目が悪くなるためポリスペルマの前景にトリミングを頻繁に行わないような背の低い前景種などを植えてカット後すぐの見た目の悪さを隠せるようなレイアウトの工夫も必要になってきます。
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ハイグロフィラポリスペルマの赤色発色
ポリスペルマは基本的にはグリーンの水草ですが元気に生長し水面近くの光量の強い場所では頂点が赤くなることがあり、ポリスペルマが赤みを帯びた姿は非常に綺麗なものです。
このような現象は水草内に含まれるカロテノイドの働きにより新芽を強い紫外線から守るための働きとされています。
水草は水中では水上と違い乾燥や強い紫外線の影響を受けないため表面の組織が水上葉の時とは違う構造になっており、水上葉の時よりもデリケートな構造となっています。
そのような状態の水草に強い光が当たることにより新芽を守るためにカロテノイドが働きだし赤みを増していきます。
水草の中にはハイグロフィラポリスペルマだけではなくほかにもこのような仕組みで赤みを増す水草が何種類かありますので赤系水草の育成に挑戦するときなどはこのような仕組みを理解しておくと綺麗に発色させることができるとおもいます。
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ハイグロフィラの水上葉と形状
ハイグロフィラポリスペルマはショップなどでは水上葉で売られていることもあります。ポリスペルマの水上葉は水中葉に比べ茎がしっかりしており、葉も厚めで葉長も短いのが特徴です。
ポリスペルマは水草育成の初心者の方が入門種として育成を行うため水槽内で水中葉を展開しだすと水上葉に比べ貧弱に見えるので元気に生長していないのか、何か問題があるのかと感じてしまうこともあるようですが心配はいりません。
水草は水中では水中に適した組織構造に変化するため茎や葉は水上に比べ薄く貧弱に見えてしまうのです。
水中葉は水中では浮力があるため水上よりもしっかりとした茎を必要としません。
逆に水上よりも光量が少なくなる水中では葉や茎でできるだけ光合成を行おうとするため葉は厚みよりも光を取り込むための面積を広げ、茎も淡い緑色に変化し水中からの養分吸収に都合のいい構造へと変化していきます。
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ハイグロフィラポリスペルマの下葉枯れ
ハイグロフィラポリスペルマを育成していると下葉が枯れてくる事がありますが、この現象の原因はいくつか挙げられます。
まず一つ目は購入後間もない水草の下葉が枯れてくる現象ですがこれは水上葉を購入している場合に起こりやすい現象です。
ハイグロフィラなどの有茎系水草はショップでの販売時に水上葉で管理されていることが多くその水上葉を水槽内に植えこむ事により新しく水中葉を展開しだしますがその後水上葉は環境の変化に適応するように枯れていくことがあります。
そのような時は枯れだした葉が水質を悪化させてしまうため、早めにトリミングを行い枯れた葉を除去するようにしましょう。
次に水上葉ではなく長年育成している水中葉だけでの水槽にて下葉が枯れるパターンですが考えられる原因としては密生による下葉への光不足が挙げられます。
水草は葉がそれぞれ個々に光を求め光合成を行うために光に当たらない葉は光合成が出来ず枯れてしまいます。
よって密生水槽などでポリスペルマを利用するのであれば前景に下葉の枯れを隠すようなレイアウトがいいかもしれません。
最後に有茎系水草の中でも根付きやすいハイグロフィラポリスペルマなどではあまり見られないのですがトリミング直後に根付くまで水草は体内に蓄積した栄養を自分で消費していきます。
よって底床の汚れや詰まりなどで根付きが悪いと下葉から順に栄養を消費していき枯れこんでくることがあります。
よってトリミング直後の下葉の枯れなどが起こるときは底床の状態チェックなどもしてみるといいかもしれません。
ハイグロフィラの間延び
ハイグロフィラポリスペルマは生長が早い水草として有名ですが二酸化炭素が添加されている水槽などでは特にその特徴が顕著に目立ち節と節の間隔が非常に開いてしまうことがあります。
この現象を間延びといい水草自体は元気に生長をしているので枯れなどの心配はありませんがインテリアとしての水草水槽ではちょっと見た目がおかしくなってしまいます。
間延びの対処法としては二酸化炭素の添加を抑えることやトリミングの回数を増やし生長の勢いを抑える方法があります。
ハイグロの仲間
今回はハイグロフィラポリスペルマの育て方についてご紹介しましたが、ハイグロフィラ(通称ハイグロ種)には年々新しい品種が紹介されており、ほとんどのハイグロが初心者にも育てやすいものとなっています。
ハイグロフィラポリスペルマだけでは少々寂しい水槽になりがちですので何品種か違ったハイグロ種を植えてみるのも面白いかもしれません。
また多くのハイグロのように底砂に根を張るのに対して最近人気が出てきているハイグロフィラ・ピンナティフィダは流木や岩などに活着する珍しいハイグロです。
ハイグロフィラ・ピンナティフィダはギザギザした特徴的な葉の形状も水槽内にアクセントを与えてくれるので流木水槽などのレイアウト時に用いてみるのも面白いかもしれません。