バクテリアの入れすぎ注意!水槽内での正しい増やし方と定着
ろ過バクテリアは水槽の水質維持には欠かせない存在。
しかし、ただ闇雲に投入すれば良いというものではありせん。
入れすぎれば水質の安定どころか、バクテリアの死滅による水質の悪化へと繋がることもあります。
そんなバクテリアのアクアリウムにおける正しい増やし方をご紹介いたします。
ろ過バクテリアを正しく増やせること=安定した水質を維持できることにも繋がります。
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バクテリアを水槽に入れすぎるとどうなるのか
バクテリアは水槽内の有機物を分解して水を綺麗にしてくれる優れものです。
しかしどんなことにも適正数というものがあり、水槽にバクテリアを入れ過ぎれば問題が起こることもあります。
バクテリアを入れすぎることにより起こる問題とは「バクテリアの餌不足」と「酸欠によるバクテリアの死滅」です。
バクテリアは繁殖するために餌も食べますし、呼吸もします。
そのため過剰に投入すればそれだけ水槽内の生態系のバランスが崩れて餌不足や酸欠を起こすことになってしまいます。
水槽の状態に合わせた投入と正しい増やし方をマスターしましょう。
バクテリアの正しい増やし方
バクテリアを増やす上で大切なことはバクテリアも生き物であり、育てる対象であるという意識を持つことです。
目に見えない存在であるため、どうしても育てている実感が無いのがバクテリアですが、バクテリアがしっかり育ち、増えれば水の透明度として現れてきます。
バクテリアを増やすために大切なことは幾つかあり、大きく分けると「育てるためにやるべきこと」、「定着する場を作ること」、「死滅させないためにやるべきこと」があります。
まず、育てるためにやるべきことには「餌の確保」、「酸素の確保」があります。
バクテリアの餌とは熱帯魚や金魚などが排泄する糞や餌の食べ残しなどの有機物です。
過剰な排泄物や餌の食べ残しはろ過バクテリアのろ過能力が間に合わず、水質の悪化を招く要素になりますが、何も入れていない水槽ではバクテリアの餌がないためバクテリアも育つことができません。(育ち難いが正解)
適度に生体を入れて、有機物の生成を行うようにしましょう。
もう一つの酸素の確保とは、酸素を必要とする好気性バクテリアの活動を活発にするためにエアレーションなどにより酸素を確保することです。
水草水槽などでは水草に必要な二酸化炭素を逃さないためにエアレーションは避けるべきですが、夜間など水草が光合成をしない時間帯には酸素が不足気味となります。
そのような場合には夜間のみのエアレーションを行うようにします。
この酸素の供給をしっかりせずにバクテリアを投入し、バクテリア過剰になると酸欠を起こしてバクテリアの死滅へと繋がります。
また、バクテリアの餌となる有機物が少ないところへたくさんのバクテリアを投入することも餌不足によるバクテリアの死滅へと繋がることになります。
市販のバクテリアの投入は水槽の状況を見ながら少しずつ行う方が失敗は少ないのです。
このバランスを上手く把握出来ればバクテリアの投入は水槽の立ち上げを早める効果があることは間違いありません。
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バクテリアの定着する場を作る
定着する場を作るとはバクテリアの住処を用意することです。
バクテリアは基本的には自然界のどのような場所にも存在しており、水槽内でも自然繁殖していきます。
しかし、バクテリアは水中を漂うように生活しているわけではなく、色々なものに定着して数を増やしていきます。
よってバクテリアが住み着ける場所が多いほどバクテリアは繁殖しやすくなるのです。
水槽内でバクテリアの住み着ける場所を増やすとは多孔質の物質を増やすことでもあります。
表面積の広さが広いほどバクテリアの定着する面積が増えるので必然的にバクテリアが増えやすくなるとういのが水槽内でバクテリアの棲家を増やすという考え方です。
そのような考え方のもと、水槽の中でも大きな役割を果たすのが底床とろ材です。
極端な話、底床を敷かないベアタンクでろ材も物理ろ過ろ材のみのような水槽ではなかなか生物濾過は機能しないものです。
よってしっかりとしたろ材選びと底床選びはバクテリアを増やすためには欠かせないものです。
おすすめは生物濾過を考えたリングろ材とソイルなどの底床の組み合わせでしょう。
バクテリアを死滅させないために
バクテリアの育て方・増やし方が理解できたらもう一つ。
バクテリアを死滅させないためにやるべきことを理解しておくことです。
いくらバクテリアをしっかり育てても一回の過ちがバクテリアを死滅させてしまうことすらあります。
バクテリアはそれだけデリケートな生き物であることを理解しておきましょう。
バクテリアの死滅の原因の多くは、水道水のカルキ、薬品、酸欠、急激な環境変化です。
水道水のカルキが生体に影響を与えることは多くの人が知っている事実です。
よって水換え時などにはカルキ抜きを使用することが当然のようになっています。
しかし、水槽内で使用するものは何故か水道水で洗ってしまう人もいるようです。
その中で一番やってはいけない作業がろ材の水道水洗いです。
先にも述べましたが、ろ材には多くのバクテリアが住み着いています。
そのろ材を水道水で洗ってしまったらそこに住み着いたバクテリアは・・・・・☆
ろ材は水槽の水をバケツなどにくみ出して、その中で軽く濯ぐように洗いましょう。
バクテリアが死滅してしまう原因の二つ目が酸欠です。
この場合の酸欠とは水槽内ではなく、ろ過層内の酸欠を指します。
確かに水槽内の酸欠も致命傷ですが、水槽内は酸欠になっていなくてもろ過フィルター内だけが酸欠になることがあるのです。
特にその問題が多いのが外部フィルターです。
外部フィルターは密閉構造が売りですが、その密閉構造が管理方法を誤ると致命傷となるのです。
その誤った管理方法とは目詰まりによる酸欠と水流停止による酸欠です。
目詰まりによる酸欠とは、ろ過フィルター内の掃除を怠ったことにより汚泥が溜まり、その汚泥が水流を弱め、フィルター内の酸欠状態を作り出してしまう状態です。
ろ過フィルター内では水流によって運ばれてきた豊富な酸素によってバクテリアは活発に活動できます。
目詰まりによって酸素がなかなか運ばれてこなくなると必要な酸素はどんどん低下していき、いつの日か酸欠状態となってフィルター内のバクテリアは死滅してしまうのです。
順調に回っていた水槽に急に油膜などが浮き始めたらバクテリアの死滅が起こっているかもしれません。
そうならないためにも定期的なフィルター内掃除は行いましょう。
もう一つの水流停止による酸欠とは、夏場によく起こる問題です。
水槽の掃除を行うにはろ過フィルターを止めなければできない作業もあります。
その際、フィルターを止めることは問題ないのですが、フィルター内は密閉状態であり、バクテリアが常に酸素を消費しているということを忘れてはいけません。
夏場の水槽掃除の際に長時間(1時間以上)フィルターを止めたままにする場合には、フィルターを開け、中に酸素を取り込めるようにしておきます。
また、室内の涼しい場所など水温が上昇しにくい場所を探して置くようにしましょう。
間違っても直射日光が当たる屋外などにそのまま放置などはしてはいけません。
最後に急激な環境の変化についても簡単に触れておきましょう。
急激な水質の変化や水温変化は自然界ではほとんどあり得ない現象です。
自然界で起こりえないことが起こってしまったら、どんな生物でもその変化に対応することは難しくなることは容易に考えられることのはずです。
よって水換え時の水温差や水質に影響を与える薬品の投与は気を使いたいところです。
バクテリアには水温(温度)管理も大切
バクテリアを育てるうえでは水温の管理も重要な要素です。
バクテリアにも活発に活動する水温があり、冬の時期のような低水温では活動が鈍るのでもちろん中々増えることもありません。
寒い時期になると水が腐りにくくなったり、あまり臭わなくなるのもバクテリアの働きが低迷しているからなのです。
逆に過剰な高水温では死滅に繋がることもあります。
30℃を超えるような高水温では水中の酸素量が極端に低下するため、今まで問題なく生きていた生体でも水温の上昇による溶存酸素量の低下により死んでしまうことも少なくありません。
夏場に急に水槽の状態が悪化するなどの場合にはこのような問題が隠れているのかもしれません。
照明も水作りには大切なファクター
水槽に設置する照明は飼育者が水槽内を観賞するための目的や水草を元気に育てることが目的とされることが多いものです。
しかし太陽の光は多くの生物にとって欠かせない要素であるように水槽内でも照明は水草以外にもそこに生息するバクテリア、植物性プランクトン、動物性プランクトンにとっても欠かせないものなのです。
自然の中では太陽の光によって保たれている生態系。
その生態系を水槽内で再現しようとしているものがネイチャーアクアリウムです。
生態系のバランス無くして良質な水質を保つことはできません。
濾過バクテリアの増やし方まとめ
- 濾過バクテリアを正しく増やすこと=安定した水質を維持すること
- 濾過バクテリアを育てるには餌の確保と酸素の確保が必須
- 水草水槽では夜間のエアレーションをしないと酸欠になることがある
- 濾過バクテリアを増やすにはバクテリア が定着しやすい場所を増やす
- ろ材の管理方法は濾過バクテリアの定着に大きな影響を与える
- 濾過バクテリアの繁殖には水温管理も重要
- 水槽内でしっかりとした生態系を維持するには照明も必ず必要
今回は濾過バクテリアの増やし方についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。