水草の水上葉とは?水上葉の種類・育て方・増やし方
水草育成で言われる水上葉とはどのようなものなのか?
水上葉と水中葉の違いや水上葉の種類、さらには上手な育て方や増やし方などを紹介しています。
水上葉は気中葉などと言われることもあり、水中で暮らす沈水性の植物の葉が水上に顔を出し、水上生活に適応できるように変化したものです。
逆に水上で暮らす植物が水中でも適応出来るようになった葉を水中葉と呼びます。
このような植物は環境の変化が大きい地域に生息し、もともと陸上生活を主としたものが雨季などに沈水性へと変化するものや水中の生活を主としたものが乾季に水上での生活に対応したものなど様々です。
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水上葉と水中葉の違い
水上葉と水中葉では対応する環境の違いから葉の作りそのものが変わり、見た目や質感にも違いが現れます。
水中葉を水上に出せば、それで水上葉というわけにはいかないのです。
また、水中葉が水上葉に変化すると説明しましたが、正しくは水中葉のついた茎から新しく芽を出し、その芽が水上に適応した水上葉として成長していくが正解です。
種類により水上葉も様々ですが、基本的には水中葉より水上葉の方が葉が厚く、固くなり、色合いも濃くなるものが多いものです。
よって初めて水上葉を水槽で育てた人は水中葉が展開しだすとなんだか貧弱に感じてしまうらしく、水草が上手く育っていないと思ってしまうこともあるようです。
水上では乾燥や紫外線から身を守るために水草の表面の組織にクチクラ層を形成します。
このクチクラ層が葉を厚く、しっかりとさせる要因ですが、しっかり形成される前に水草が乾燥や紫外線に晒されてしまうと枯れやすくなってしまうのです。
他にも葉の違いではないのですが、水上葉は季節によって花を付けるものも沢山あります。
水中では花を咲かせない水草を水上葉で育成して花を楽しむなんて楽しみ方をされている人も多いものです。
水上葉の種類
水上葉の種類は水草の種類の数だけあると思って問題ないでしょう。
正確には水中葉のみで水上葉をほとんど出さない種類の水草もありますが、大抵の水草は水中葉と水上葉の両方の特性を持ち合わせているものです。
水上葉から水中葉への変化の仕方も色々あり、これが水草育成の魅力の一つにもなっています。
水上葉とほとんど見た目が変わらないもの、水上葉は緑色なのに水中では赤くなるもの、葉幅が細くなるもの、葉が長くなるものなど。
水中葉と水上葉、育つ環境が違うのですからもちろん見た目の違いだけではなく、育て方にも違いがあります。
そんな水上葉の上手な育て方・育成のコツも見ていきましょう。
水上葉の育て方
まず、基本的な「植物が育ちやすい環境」を維持してあげることは大前提です。
気温は20℃〜28℃くらいを保ち、適度な明るさと二酸化炭素の確保です。
地域差もありますが、4月後半から9月後半くらいの時期なら屋外、屋内を問わず水上葉が育てやすい季節と言えます。
それ以外の季節でも育てられないことはないのですが、水中葉から水上葉への移行がスムーズに進まなかったり、低温で枯れやすいなどの難しさがあります。
水上葉育成が初めての人は出来るだけ育てやすい季節に行うことが理想で、ある程度経験を積んで育成のコツが掴めたらその他の季節にも挑戦してみてもいいかもしれません。
次に適度な明るさとは光合成が活発に行われる明るさです。
屋外や窓辺で育て、太陽の光を利用できる環境なら申し分ありません。
室内などで育成する場合には水草の色合いや葉の大きさなどを見ながら光量を把握していく必要があります。
なんだかひょろひょろしていたり、色が薄かったりしたら光量不足の可能性があります。
二酸化炭素の確保に関しては、水中と違うので特に気にする必要はありませんが、小さな小瓶などで密閉したまま育てたりすると二酸化炭素の不足状態になることもありますので、蓋付ボトリウムなどを行うときなどは注意が必要です。
基本的な育成環境が整ったところで水上葉の育て方のコツについても触れていきましょう。
水上葉を上手に育てるコツは環境に慣れさせることとしっかりと湿度を保つことです。
水上葉を育てると言っても水上葉を購入してきて、そのまま水上で育てるのと水中葉を購入してきて、水上葉に移行するのとでは若干気をつける点が変わってきます。
鉢などに入り、しっかり根付いている水上葉を購入して育てるのであれば、適度な湿度を保っていれば問題なく育つはずです。
水上葉を育てている環境の気温が思った以上に高くないか、逆に低くないか、湿度は安定して保てているかなどを毎日しっかり確認するためにも育成環境のそばに温湿度計などを置いておくと管理がしやすくなります。
水中葉から水上葉を展開させて育てるためにはそのまま土に植えても育ちにくいことがあります。
気温と天気が安定してある春先であればしっかり湿らせた土に植えればすぐに根を出しますが、乾燥の激しい夏などはすぐに干からびてしまうこともあります。
そのような時にはビオトープのようなイメージで浅い水中育成を行いつつ、水面に顔を出した水上葉を育てていくようにします。
また、環境に慣れてしまえば強めの直射日光でも問題ありませんが、初めのうちは半日陰にしたり、遮光ネットなどを利用して太陽の光を弱めると上手く育つこともあります。
土はソイルでも赤玉土でも問題ありませんが、古いものを使うとカビや細菌に侵されやすくなりますので必ず新しいものを使うようにしましょう。
水上葉育成の注意点として茎が黒ずんできたり、溶けてきたりしたらその部分は速やかにカットして健康な部分だけを残すようにします。
一度腐りかけた部分は復活することはありませんし、ほかの部分にまで侵食してしまいますので注意が必要です。
水上葉の増やし方
水上葉は基本的には上手く育てば勝手にどんどん増えてくれますので特に手を加える必要はありません。
増え方としては、茎の節目から新しい芽を出して増えますので有茎系水草などでしたら縦に植えるよりも寝かせて植えた方が沢山の芽を出しやすいものです。
また、トリミングを行うとそこから新しい芽を複数出す種の水草もありますのである程度育ったらトリミングを行い、差し戻しなどをすると増えやすいはずです。
コブラグラスやヘアーグラスのような横に這うタイプの水草は根張りがしっかりしてくるとどんどん広がっていきますので、あまり植え替えなどをせずにそのままの環境を維持してあげます。
定期的に水草用の肥料などを土に埋め込んであげるとさらに調子をあげるようになります。
水草の水上葉の楽しみ方
水上葉の特徴や育て方などがわかったところで水草の水上葉の楽しみ方についても簡単に触れておきましょう。
水中葉を水上化して増えたらまた水槽に植え込みレイアウトを作るのも楽しい育て方の一つですが、どうせ水上葉を楽しむのでしたらビオトープなども面白いものです。
屋外でも水草が育つ季節にはビオトープも作りやすくなりますので水草の水上葉ビオトープを作成し、メダカなどを泳がせてみるのも素晴らしいものです。
今回は水草の水上葉についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。