水草カットの仕方・水草のトリミング方法とメンテナンス
水草育成において伸びすぎた水草をカットし、水景を維持することをトリミングと呼びます。
水草のトリミングにはさまざまな理由と効果があり、水草を健康に育て水質を安定させるには欠かせない作業でもあります。
そんなトリミングを行う理由や水草のカットの仕方・トリミングの方法などをまとめて紹介いたします。
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水草のトリミングを行う理由
トリミングを行う理由には大きく分けて4つほどあり、一つ目はレイアウトの維持です。
この作業ではレイアウトを崩すように伸びてしまった水草のカットや有茎系水草を密生させる時におこなうピンチカットなどがあります。
水草を途中からカットすることにより切り口から新芽を2,3本出させて密生させる手法でグリーンロタラやパールグラスなどでよく見られる手法でもあります。
二つ目が生長しすぎた水草による環境悪化を防ぐための間引きトリミングです。
水槽という決められたスペースの中で水草が生長しすぎると必然的に空間は少なくなってきます。
ここで生じる問題が水面の空間不足による下葉や背丈の低い水草への光量不足です。
背の低い水草などは伸びすぎた水草の陰になってしまい、光が当たらず生長障害を起こしてしまいますのでそのような事態を避けるために邪魔な水草をカットします。
もう一つが水中での空間不足により水流がうまく回らなく淀みができてしまうことです。
その結果部分的に水質が悪化し、コケの発生などに繋がってしまいますのでそのような事態を避けるためには、古い下葉をカットしたり生長の悪い茎をカットしたりして水がうまく回るように空間を作ってあげることが大切です。
三つ目が枯れた水草やコケの付いた水草の除去です。
枯れた葉は絶対に元気な葉には戻りませんのでそのままにしておくと徐々に腐りだし、水質の悪化を引き起こす要因になりますので早めにカットすることをお勧めします。
コケは種類によってはコケ取り生体や水質の改善により無くすことができますが、一度付着するとトリミングでしか対処できないコケもあります。
コケの付着を放っておくとコケがさらに広がってしまう、見た目も良くないなどメリットはありませんので見つけ次第トリミングにて除去するようにしましょう。
四つ目が弱ってしまった水草の植え替えです。
有茎系水草で行われるトリミング作業の一つですが、水草の上部を何度もトリミングしレイアウト維持をしていると徐々に根元の方が老化し弱ってきてしまうことがあります。
そのような時には一度水草を根から引き抜き下部をカットして植え替えるトリミング方法があります。
このように水草は日常的にトリミングによるメンテナンスをおこなってあげてはじめて健康を維持することができるのです。
水草のトリミングを行う理由はご理解していただけたとおもいますので、それでは水草の種類別にどのようなトリミングをおこなえばいいのかご紹介いたします。
有茎系水草のトリミング
まずは有茎系水草といわれる水草で名前のとおり茎と節目から構成されている水草について説明いたします。
パールグラス・グリーンロタラ・ニードルリーフ・ハイグロフィラ・リスのシッポなど多くの初心者向け水草がこの種の水草となります。
このような水草は写真の赤線の部分でカットするようにしてください。
青線の部分でカットし差し戻しをおこなってもこのような水草の場合節の部分から根や葉を出すため節の下の部分はいずれ腐って溶けてしまいます。
よって節の少し下くらいでカットし2節程度の葉はカットして底砂に植え込むようにすると底砂内に埋め込まれた節目から根を出しやすくなります。
この写真は切断するポイントを説明するものであり、実際は多少先端部より短めになってしまいますので実際にカットするときは下のほうでカットをおこなうようにしてください。
あまり短くしすぎると養分吸収率が下がり生長が遅くなってしまうこともあります。
前景向け水草のトリミング
次はヘアーグラスなどのような前景向け水草のカット方法を説明いたします。
基本的に前景で用いられる水草は背丈が低い物で節目を持たず一枚葉で成り立っているものが多いものです。
このような種類の葉は一度カットしてしまうとその部分から伸びることはありませんのでカットの際は赤線の部分からカットするようにしてください。
地下茎がしっかり生長していればすぐに新しい芽をだすようになります。
逆に青線部分などでカットしてしまうと切断面がくっきり残ってしまい見た目にも冴えないものになってしまう上、生長の止まった葉はコケが付着しやすくなってしまいます。
このようなカット方法はヘアーグラス、コブラグラス、グロッソスティグマなどに適応できるカット方法になります。
ロゼット型水草のトリミング
右の写真はアマゾンソードなどのロゼット型と言われる水草でこのような水草の特徴は中心より新芽を出し生長していくため外側にいくほど古い葉となります。
外側の葉は成長が鈍りコケが付着しやすくなりますのでトリミングの際は赤線部分からカットし、外側の葉を取除くようにしてください。
青線部分からのカットは葉の成長を止めることになりコケの付着要素となりますのでお勧めできません。
またランナーといって葉ではなくツルのようなものを出し子株をつけることがありますが、子株に根がではじめていれば子株は自力で生長しだしますので、そのような時はランナーのどこを切っても問題はありません。
このように水草の種類によってメンテナンス方法は多少違ってきますが、しっかりとしたトリミング作業が水草の生長を促進させ綺麗な水草水槽を維持する為に欠かせないことはご理解いただけましたでしょうか。
トリミング用品にも気を遣う
ここまではトリミングの理由や方法・水草ごとのカット方法などをご紹介しましたが、もう一つ注意したいことがトリミング時には切れ味の良いハサミを使うことです。
水草には繊維があり、その繊維を潰すように切断するとその切断面は腐りやすくなってしまいます。
逆に綺麗にカットされた切断面では水草の各機能が正常に活動をして新しい芽や根を出しやすくなります。
水中で使う道具である以上、長年使っていると錆びることもありますのでできればトリミング専用のステンレス製トリミングハサミなどを利用するといいでしょう。
トリミング後の水草の状態と管理
水草のトリミングは水草を健康的に育てる為に必ず必要な作業ですが、トリミングにより水草にダメージを与えてしまっていること、水草の量が減ることにより水槽の環境に変化が起きていることは理解しておきたいものです。
大がかりなトリミング後には今まで通りの管理ではなく、肥料の添加量を抑える、二酸化炭素の添加量を抑えるなど水草の状態や水槽の環境変化を確認しながら日々の管理を行えるようにしましょう。
今回は水草のトリミング方法とメンテナンスについてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。