クリプトコリネの種類はいろいろありますが、今回は細長いテープ状の葉が特徴的な『クリプトコリネ バランサエの育て方』を紹介していきたいと思います。
『クリプトコリネ バランサエ』の植え方を始め、トリミング方法や水上化の方法、そして『クリプトコリネ バランサエ』の良さを引き立てるレイアウト例などについてもふれていきましょう。
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クリプトコリネ バランサエ 育て方
学名:Cryptocoryne crispatula Engl. ver. balansae
『クリプトコリネ バランサエ』は(別名:クリプトコリネ クリスパトゥラ)とも呼ばれています。インドシナ半島に分布している、サトイモ科の水草でとても強健なので初心者の方でも育てやすく人気があります。
環境への強い適応力があり水上・水中どちらでも適応しやすいため初心者の方でも育てやすい品種です。水上葉と水中葉では、また違った印象になるのもクリプトコリネ バランサエの面白い点です。
葉色は深緑からやや褐色かかった深みのある葉を展開しますが、実は育てる環境により葉色に変化がみられるのも特徴ですね。
陰性水草なので二酸化炭素の添加は必要ありませんが、二酸化炭素を添加する事で生育が良くなり葉色が明るめの色になります。光量に関しては弱光量もしくは中光量を好むので、強光量を当ててしまうと葉色が茶色っぽく変化する傾向があります。
またクリプトコリネ バランサエが面白く魅力的な点は、ゆらめくテープ状の外観にあります。水槽内でユラユラ波打つバランサエの葉は、自然な雰囲気を作りだし高景草として大活躍してくれます。
東南アジアのスリランカ河川に生育する水草で、水質は中硬水、弱酸性~弱アルカリ性、低光量でco2添加なしでもOK、温度は22~28℃、生長速度は穏やかです。
『クリプトコリネ バランサエ』の葉はとても細長く葉幅は1.5㎝~2.5㎝、葉の長さは30㎝~50㎝と、水上化ではさらに80㎝以上にまで生長する事もあります。細葉系のクリプトコリネの代表種です。葉は凹凸できつめに波打っているのも特徴ですね。
また、同じバランサエでも採集場所により、葉幅などにも違いが見られます。
『クリプトコリネ バランサエ』は陰性水草なので、少ない光量でも育成可能ですがせっかくなら明るい環境を整えてあげた方はキレイに育ちます。
軟水よりもやや硬水よりの水質を好むので、硬度を下げるCO2を添加する場合は添加し過ぎないように注意しましょう。
クリプトコリネ バランサエの育成難易度
クリプトコリネ バランサエは、水草の初心者でも育てやすい種類で育成難易度も低い品種です
初心者向きな理由としては、クリプトコリネ バランサエは環境の変化に強いだけでなく、CO2添加や強い光量も必要としません。
このようにあらゆる意味で適応性が高い点や、病気などについても比較的耐性があり丈夫な点も初心者向きを言えましょう。
ただし強い光量は必要ないとは言え適度な光量は確保する必要はありますし、固形の水草専用肥料等を与えてあげる事でさらに元気な水草に育てる事ができます。
また生長が遅いため、トリミングなどのメンテナンスに追われる事もない点なども初心者向きを言われる理由になります。
底砂
『クリプトコリネ バランサエ』は硬度が下がり過ぎて、カルシウムが不足すると水草が弱ってしまう場合があります。
例えば新しいソイルなども硬度を下げる要因になります。『クリプトコリネ バランサエ』の場合は、ソイルではなく砂利や大磯砂などの底砂であれば硬度に影響しません。
新しいソイルを入れた際、水草が調子を崩れたら硬度が軟水に傾き過ぎていないか?もチェックすると良いでしょう。
肥料
『クリプトコリネ バランサエ』のように根を張りランナーを作るような水草は、根から多くの養分を吸収します。よって液体肥料よりも、水草用の固形肥料(イニシャルスティック)などの方がいろんな意味で管理しやすくお勧めです。
液体肥料は、即効性がありますが水質も変化しやすいため、ここでは水質が変化しずらい固形肥料の方がおすすめです。
また『クリプトコリネ バランサエ』は、比較的多くの肥料を消費しますので肥料不足にならないように注意しましょう。葉の白化などは、肥料不足のサインです。
クリプトコリネ バランサエ 植え方
購入した水草の場合は、まず水草をポットから外します。鉛の場合の同様です・・。
水草にロックウールが巻き付けてある場合は、ロックウールをピンセットなどで丁寧に取り除いていきます。この時も根を傷つけないように、ゆっくりとロックウールを取り除いていきましょう。
ロックウールの取り外しが終わりましたら、植え付ける前には根をキレイに水洗いする必要があります。
目には見えませんがスネールの卵などが付着している場合もあります。同時に、傷んだ葉や根などもキレイにこの時点で取り除いておきます。株が何株か一緒に巻かれている場合は、それらを丁寧に1株づつほぐして分けていきましょう。
『クリプトコリネ バランサエ』を植える際は、根を傷めないように優しく深めに植え付けてあげる必要があります。株が生長した時の事も想定し、最低でも3㎝くらいの間隔をあけ、ピンセットで1株づつ植えていきましょう。
またクリプトコリネ バランサエの場合はレイアウト的には、後景に植え付ける事が予想されますがクリプトコリネ系は移植を嫌う傾向がありますのでこの時点でしっかりとレイアウトを決めておくと良いでしょう。
クリプトコリネ バランサエ 葉が茶色になる
クリプトコリネの葉が緑だったり茶色に変化する事は良くある事で、環境により葉の色が変化します。
自生地で繁殖している『クリプトコリネ バランサエ』は特に日当たりが良い場所に自生しているものは、全体的に葉が茶色になっているものが多いようです。葉が波打つ形状なだけにとても個性的な印象を受けます。
『クリプトコリネ バランサエ』の葉色は環境により、グリーン色になったり茶褐色(赤みが増す)になったりと変化します。鮮やかなグリーンの葉も美しいですが、上記のように褐色に変化した葉も独特な雰囲気を演出し面白いかもしれませんね。
クリプトコリネ バランサエ 増やし方
『クリプトコリネ バランサエ』は地下でランナーを伸ばしながら生長し、その先端に子株を作りながら生長しますので増やす場合は子株を切り離して株分けする事になります。
子株は親株から伸びる茎部分(ランナー)でつながっています。この時の注意点としてランナーからでている葉を3枚ていどは含めるようなイメージで余裕を持たせてカットする事で株が弱りにくくなります。
株分けはあるていど大きくなってきたら行うのが理想ですが、例えば水替えなどのタイミングなどに合わせてランナーについた子株をカットし増やして行くと良いでしょう。
クリプトコリネ バランサエ トリミング
『クリプトコリネ バランサエ』は生長がゆっくりなので、有茎草のように頻繁にトリミングをする必要はありません。しかし葉が溶け始めたり、葉色が悪く見栄えの悪い葉などを見つけたら積極的にトリミングしていきましょう。
それ以外のトリミングのタイミングとしては、株があるていど生長し樹形のバランスが崩れて来た時です。生長過程で葉っぱどうしが重なり合い、密になる事で通気性が悪くなり結果として葉が溶けたりする原因になるからです。
またそれまで良好だった水流が妨げられてしまうだけでなく、成長の妨げにもなります。トリミングでスッキリさせてあげる事で、光の浸透力も改善されるので水草の健やかな生長を促す事につながります。
トリミングは成長を制御し綺麗な樹形を保つ役割もあります。クリプトコリネ バランサエはテープ状の長い葉なので、見栄えが悪くなるほど葉が長く伸び過ぎてしまう事も普通にあります。
長く伸びた葉をあえてそのまま活かしても良いですし、レイアウトは管理する方の個性も垣間見れて面白いものです。
この辺りはあまり難しく考え過ぎずに不要だと思われる葉のみトリミングバサミで剪定、もしくは手で根元から切り離すように取り除いていきましょう。
クリプトコリネ バランサエ 水上化の方法
『クリプトコリネ バランサエ』を水上化する場合は、始めから【水上葉】になっている水草を購入するのが一番手っ取り早い方法ですが、そうではない場合について説明していきますね。
水上化しているものはそのまま生長しますが、水中葉だったものはいったん葉が枯れ落ち、水上葉として新しい葉を出すようになります。
水上化する際あまり水温が低過ぎると、クリプトコリネが育たず枯れてしまう場合もあります。比較的水温が安定している季節でしたら問題ありませんが、冬場などはヒーター管理をした方が失敗がありません。
素焼きの鉢に入れて腰水管理しながら水上化する方法もあるのですが、今回は空きビンを使ってお手軽にクリプトコリネを水上化していきます。超簡単な方法なので、ぜひ皆さんも水上化に挑戦してみて下さいね。
①まずは、水上化するクリプトコリネが入るフタ付きの瓶を用意します。
②瓶の中にソイルを5㎝くらい敷き詰めます。赤玉土(小粒)を使用されても良いです。
③ソイルを入れたら水を入れて底砂を湿らせます。水位は、ソイルがややヒタヒタになるくらい入れます。
上からのぞいてソイルの表面に、少し水がたまっているくらいでOKです。
④ここにクリプトコリネ バランサエを植え付けていきましょう。
⑤後はフタをして管理しますが、ガチガチにフタを閉めるのではなくフタはポンと乗せるだけでOKです。完全密封する必要はありません。もしフタがない場合はラップをかけておいても良いです。
置き場所ですが、他にライト付きの育成水槽があるなら光がこぼれる水槽付近にそのまま置いて置くだけでOKです。特に何もする必要はありません。もし水量が減っていたら、減った分だけ足し水をするていどです。
直射日光は避け明るい場所で管理しますが、クリプトコリネの生長はゆっくりなので後はひたすら放置です。
クリプトコリネ バランサエは根から肥料を消費しますので、ソイルに植えた場合は必要ありませんが赤玉土使用の場合はクリプトコリネの新芽が出た頃に水草専用肥料(イニシャルスティック)を底砂に埋め込んであげると良いでしょう。
クリプトコリネは、このように瓶に植え付けフタをして管理するだけで水上化できますが、この作業をもし冬場に行う場合は水を張った水槽にヒーターを設置し瓶をそのまま漬けて置く事で水温をキープする事ができます。
【注意点】として水槽の底に水をはる形になるのでヒーターは、空焚き防止のために横置き可能なものを選び必ずヒーターがズレないように設置しましょう。水槽内に入れる水量を考えると水槽サイズにもよりますが小型水槽用のヒーターなど下記のようにW数が低めのものが無難です。
順調にいけば2週間もしないうちに新芽を出してきます。完全に枯れた水上葉は取り除きしばらくはフタ付きのまま管理して行きましょう。
新芽を出し順調に水上葉がしっかりと増えてきたのを確認できるようになったら、次は完全に水上化させていきます。必ずクリプトコリネの調子を見ながら無理せず、数日おきに少しづつフタをずらし湿度を下げていきます。
そして、最終的は完全にフタは外し水上化させます。
水はくれぐれも入れ過ぎないようにしましょう。難しいと思われるクリプトコリネですが、ゆっくり段階を踏み水中→半水中→水上化される事で成功率が格段とあがります。
コツをしては水温低下に注意し、光を当てつつ新芽が動き出し株がしっかり安定するまでは慌てず湿度高めの管理をすると言う事です。
クリプトコリネ バランサエ 活着
『クリプトコリネ バランサエ』など、クリプトコリネ系の水草はもともと根や石などに活着するための【活着根】がないので残念ながら活着はしません。
ポットに植えたり、底砂に直接植える事になりますね。その際も、根を傷めないように注意し優しく植え付けてあげましょう。
クリプトコリネ バランサエ レイアウト
『クリプトコリネ バランサエ』は、上記のように波打った細長い葉を展開しますのでレイアウト的には、後景草として使用される事が多い水草ですね。
葉は細長く伸び水面にまで達すると、ゆらゆらと水面を這うように生長します。これが嫌だと言う方ももちろんいらっしゃいますが、逆に上記のように葉が水面を覆うように密集してくる事でジャングル感のある面白いレイアウトとして楽しむ事もできます。
上記は『クリプトコリネ バランサエ』を流木の付け根に配置したレイアウトです。アーチ型の流木の左右に配置されたクリプトコリネが、とても良いアクセントとなり水槽全体のバランスもとても良いですね。
こういった形でワンポイント足す形で『クリプトコリネ バランサエ』を植え付けるものありです。全体的にスッキリとまとまっているのですが、クリプトコリネ バランサエがとても良く引き立つレイアウトになっています。
『クリプトコリネ バランサエ』は葉が長く伸びる水草なので、水槽も上記のように高さのあるものを選ぶと良いでしょう。高さのある水槽にレイアウトする事で、伸び伸びと育つクリストコリネ バランサエを観賞する事ができます。
あるていど背丈のある水草例で言うと【ウォータースプライト】や【アルテルナンテラレインキー】なども良いですね。このように背丈のある水草を一緒に植え付ける事で立体感のある水槽レイアウトが可能になります。
もしくはクリプトコリネ・バランサエだけを使用したレイアウトなども、バランサエの魅力が最大限に引き出されて面白いかもしれません。いろいろなレイアウトに挑戦し自分だけの世界感を作り上げてください。
『クリプトコリネ バランサエ』は育成環境の良い水槽内で生長すると、いずれ水面まで到達する事もあるかもしれません。しかし、上記水槽のように水流を上手く利用し同方向に『クリプトコリネ バランサエ』を流すようにレイアウトするのも面白いです。
長く伸び過ぎた『クリプトコリネ バランサエ』も、同方向に流す事でだらしない印象になりません。むしろ、『クリプトコリネ バランサエ』の下には魚達が集まっていて隠れ家的な休憩場所にもなっているようにも見えますね。
こうして、長くなり過ぎてしまった『クリプトコリネ バランサエ』も、逆にその良さを楽しむのも良い方法と言えます。
クリプトコリネ バランサエと相性の良い魚
クリプトコリネ バランサエと相性の良い魚は、小型のカラシン類やテトラ類などの小型魚と特に相性が良い傾向があります。小さい魚達は、テープ状のバランサエの葉の間などでもスイスイ泳げますし、よりいっそう自然な環境に近づく事でしょう。
メインで入れる魚として相性が良いのは、丈夫で飼育しやすい小型のテトラ系(カラシン)などがあげられます。またテトラ系のアクセントとして、ブラックファントムやレッドファントムなどを入れられても良いでしょう。
クリプトコリネ バランサエと相性の悪い魚
クリプトコリネ バランサエと相性の悪い魚は、底床を荒らすコリドラスやドジョウなどです。これらの魚はどうしても底砂を荒らし、クリプトコリネ バランサエの根を傷める原因になってしまうためです。
クリプトコリネ バランサエは、根を荒らされたり引っこ抜かれたりするのを非常に嫌い最悪の場合ストレスで溶けてしまう事もあります。これらの事を考慮すると、底砂を荒らすような魚は避けた方が良いと言えます。
上手に相性の良い水草や魚を上手に組み合わせる事で、バランサエは水槽内での自然な美しさと調和を生み出してくれる事でしょう。
以上、『クリプトコリネ バランサエ』の育て方を紹介してきました。
引き続き、素敵なアクアライフをお楽しみください(⋈◍>◡<◍)。✧♡
『クリプトコリネ バランサエ 育て方!植え方・増やし方・トリミング・水上化の方法』の記事でした。
最後までお付き合い頂きましてどうもありがとうございました●^^●