オトシンクルス飼育で寿命を左右する水合わせ・餌・水温・混泳
オトシンクルスの寿命は水槽飼育下で3年と言われています。
その寿命を全う出来ずに短命で終わってしまう場合には、もしかしたらオトシンクルスの飼育方法に何かしらの問題があるのかもしれません。
オトシンクルスに限らず、どんな生き物でもしっかりと餌を食べ、最適な環境で生活できればおのずと寿命は延びるもので、逆に劣悪な環境は病気や体調不良を誘発するきっかけとなり、その結果寿命を縮めることにもなりかねません。
オトシンクルスの水槽導入時の水合わせから水温管理や餌やりなど、オトシンクルスの寿命を左右する可能性のある飼育上の注意点を確認してみましょう。
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オトシンクルスの水合わせ方法と時間
水合わせとは、オトシンクルスを購入して水槽に入れる際に輸送に使われたビニール袋などの入れ物に入った水と水槽内の水の水温や水質の違いによるショックを軽減するために行う作業です。
この水合わせを怠ると、水槽投入時に水質の急変にショックを受けたオトシンクルスが体調を崩したり、食欲を無くしたり、最悪そのまま、数日後に死んでしまうこともあります。
そんな水槽投入初期の健康状態に影響を与える水合わせをまずはしっかりマスターしましょう。
しっかりとした水合わせ 点滴法
点滴法とは飼育水を点滴のようにポツポツとゆっくり時間をかけて生体のいる飼育水の中に投入していき、水質の変化に慣れさせる水合わせ方法です。
ます、購入した生体を袋のまま30分ほど水槽に浮かべておき水温を合わせます。
その後、用意したプラケースにオトシンクルスを袋ごと移します。
エアチューブとコックを使い、エアチューブから水槽の飼育水を軽く吸い、サイフォンの原理を利用して飼育水をプラケースに注いでいきます。
エアチューブの端一方にコックを取り付けて一滴ずつゆっくりと飼育水をプラケースにいれていきます。
水合わせの間の酸素不足が気になるようでしたら、プラケース側に別のチューブでエアーストーンを取り付けるとより効果的に水合わせが行えます。
ある程度水が溜まったら軽くくみ出したり、こぼすようにしながら1時間〜2時間くらいかけてゆっくり水合わせをしてから、最後にネットで生体を掬い、水槽に導入します。
ネットショップで水合わせに必要な道具をまとめて、水合わせキットなどとして販売しているものもありますので上手く活用しましょう。
オトシンクルスの体調と水温の関係
水合わせに成功したらまずは一安心です。
次に確認しておきたい項目はオトシンクルスが飼育されている水槽の水温管理です。
オトシンクルスは南米アマゾン川流域を生息地としており、温暖な気候を好むため、飼育の際にはヒーター等で水槽の水を温めてあげる必要があります。
ヒーターの設置の無い水槽などでも徐々に変化していく水温にはかなりの低温まで耐えることが出来ますが、10℃を下回ると動きが鈍くなり、食欲も低下するうえ、病気にもかかりやすくなりますので注意が必要です。
逆に夏場にはヒーターの設定温度以上に水温が上がってしまうこともありますが、ナマズの仲間であるオトシンクルスは酸素濃度の薄くなる高水温も苦手で、35℃を超えるような水温になると弱り始めますので、夏場の水温管理にも気を使う必要があります。
どうしても夏場に水温が上がり過ぎてしまう場合には、エアレーションを行うなどして水中の酸素濃度を高める工夫をすると良いでしょう。
オトシンクルスの餌
食べ物は生体が生きていく上で必要不可欠なもので、安定して栄養バランスのとれた餌にありつけることは長生きの秘訣でもあります。
オトシンクルスの餌としては水槽内に生える茶コケやタブレット、茹でた野菜などが知られていますが、水槽内に生えるコケ(藻)だけを餌として考えていると、水槽内の藻やコケがなくなってしまうと餌がなくなってしまうことになります。
そのような事が無いように長期飼育のことを考えコケに代わる餌(茹でた野菜類や同じ草食性の強いプレコ用タブレットなど)を与えて餌付ける必要があります。
オトシンクルスの餌付け方法
水槽内でも色々なものに興味を示し、与えたエサにもすぐに慣れてくれる個体であれば餌付けの心配もありませんが、オトシンクルスにも個体差があり、新しい餌を投入しても見向きもしないものも稀にいます。
そのようなときは少しずつ餌に慣らしていくことをしなければなりません。
まずは購入先でどのような餌を与えていたのか教えてもらうことで、餌の違いによる問題は解消することができます。
オトシンクルスが餌を食べない理由には餌が変わったこと以外にも環境の変化があります。
購入当初は今までいた場所と全く違う環境に移される訳ですから、やはり大きなストレスを感じているはずです。
まずはそっとしてあげて環境に慣らすことから始めます。
また、オトシンクルスが怯えるような大きな熱帯魚がいるような時もやはり落ち着かないはずですので、流木や水草などオトシンクルスが隠れる場所を増やしてあげることで環境に慣れさせます。
隠れ家やレイアウトとして入れる流木には、他にもオトシンクルスの餌としての効果もあり、流木に生えるコケや流木そのものを舐めるように食べますので是非入れておきたいものです。
環境に慣れたら、徐々に餌を探すようになりますので、初めのうちは数種類の餌を投入し、興味を示すものの選択肢を増やしてあげます。
徐々に餌にも慣れ、食べるようになれば一安心です。
オトシンクルスが餌を食べない
先に述べました購入当初の環境や餌の変化以外にオトシンクルスが餌を食べないような場合は、何かしらの問題がある可能性があります。
オトシンクルスが餌を食べなくなると、餌の問題に意識がいきがちですが、水温の変化や水質の悪化など周りの環境が変わったことにより、体調を崩している可能性もありますのでまずは飼育環境の見直しをしてみましょう。
オトシンクルスとの混泳
オトシンクルスはほぼ草食性と言い切ってもよいほどの草食性傾向が強い雑食性の小型ナマズですので、他の生体を襲って食べるようなことはありません。
また性格も非常に温和で混泳相手の選択肢も幅広く、オトシンクルスを狙って食べてしまうような肉食魚でなければ、大抵の生体との混泳は可能です。
しかし、ミナミヌマエビやヤマトヌマエビなど同じような食性をもつ生体と混泳していると水槽内で餌の取り合いになってしまうことも稀にあります。
基本的にはオトシンクルスは口の形状からもわかるようにコケを舐めとるように食べるのでガラス面や水草など平らな面に生えたコケを好み、ヌマエビ類は糸状コケなどを好む傾向にありますので水槽内に様々なコケが生えていれば餌の取り合いにはなりにくいものです。
しかし、水草などが少なく、生体が多い場合にはタブレットなどの餌を与えますが、その場合、ヌマエビなどに餌を占領されてしまい、オトシンクルスが餌にありつけないこともあります。
よって水草などの少ない水槽の場合、オトシンクルスと混泳させる生体には餌の取り合いにならない食性の違うものなどを選ぶといいでしょう。
今回はオトシンクルスの飼育で注意したい点についてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。