水草の土 水槽の底に園芸用の赤玉土 その効果は!?
赤玉土といえば園芸をされている方なら誰しもが知っている基本用土です。
プランターや植木鉢などに草木を植える際に用いる土でガーデニングなどには欠かせない存在となっています。
庭の草花を植えるのに利用する赤玉土を同じ植物である水草育成にも使用できないか?
そんな疑問を持たれたことのある方も多いのではないでしょうか?
しかし実際問題、水槽での水草育成において赤玉土は全くといっていいほど使用されていないのが現状です。
ではなぜ赤玉土は水草水槽で使用されないのでしょうか?
そんな素朴な疑問について考えていきましょう。
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赤玉土を水草水槽で使用するメリットと効果
まず初めに水草水槽で赤玉土を使用するメリットについて考えてみましょう。
なぜ水草水槽に赤玉土を使おうと思うのか。
それは赤玉土の入手のしやすいさと価格の安さに魅力があるからと言えるのではないでしょうか。
先にも述べたように赤玉土はガーデニングにおける基本用土のためガーデニング用品を扱っている専門店やホームセンターなどに必ずおいてあるものです。
また価格も10kgほどで数百円とお手頃価格であることも間違いありません。
そんな低価格で入手しやすいもので尚且つ、水草の育成にマッチしたものであれば言うことありません。
それでは実際に赤玉土にはどのような効果があるのか考えていきましょう。
一つ目の効果は水草の固定と根張りの良さでしょう。
なにも敷いていないベアタンク水槽ではどうしても水草を固定することはできませんのでおもりなどに頼らざる追えません。
しかしおもりに巻かれた水草は土に植わっているものに比べるとやはり元気に成長しづらい面があります。
その反面、土に植えた水草は時間の経過とともにしっかり根を張り巡らせ成長を加速させていきます。
二つ目の効果は微生物の繁殖を促す効果です。
赤玉土には多くの微生物が住みついており、その微生物が有機物の分解、肥料の分解などを行い植物の成長を助ける働きをしています。
本来、水上で使用するものですのでそこに住みついている微生物の種類も水槽内に存在する微生物とは違ったものかもしれません。
しかし赤玉土に微生物が住みつきやすい環境が整っていることは間違いありませんので水中に赤玉土を入れればその環境に適した微生物が繁殖していきます。
例を挙げると睡蓮鉢などに赤玉土を入れ水草とメダカなどを入れておくと何も入れていない睡蓮鉢とは明らかに違った環境が形成されていきます。
何も入れていない睡蓮鉢は日を追うごとに水中に植物性プランクトンが繁殖しはじめ水はグリーンウォーターへと変わっていくのに対して赤玉土を入れてある睡蓮鉢ではグリーンウォーターにはならずに透明感のある水を維持していました。
これは赤玉土内に動物性プランクトンが豊富に繁殖し植物性プランクトンの過剰な増殖を抑えたことによる効果と思われます。
このように微生物の繁殖の場をしっかり確保してあげることで水中の生態系バランスが保たれることは間違いなく、赤玉土がその生態系維持に一役かっていることも揺るがない事実なのです。
自然界においても底砂のある里川などでは澄みきった水が流れ、そこに多くの動植物が生息していますが護岸工事をしたようなセメントで固めた川では水質の浄化能力もままならず、動植物の生息数も明らかに少ないものとなっています。
このようなことを踏まえると水槽内に赤玉土を入れれば水草も熱帯魚も元気に育つのでは?
しかし水槽といった限られた空間の中ではデメリットも存在するものです。
赤玉土を水槽に入れるデメリット
赤玉土を水槽に入れる際のデメリットの一つ目が水の濁りです。
赤玉土は大磯砂などと違い『土』ですので水槽に入れ、水を張ると濁ってしまいます。
一時的な強い濁りは時間の経過とともに解消されていきますが、どうしても細かい粉塵が含まれているためにろ過フィルターの水流などにより舞い上がってしまいます。
濁りは見た目の問題以外にも水中の光の透過率を下げる働きもしてしまうため長期的な濁りは水草の光合成の妨げにもなってしまうのです。
また舞い上がった粉塵はろ過フィルターに吸い込まれフィルターをすぐに目詰まりさせてしまい急激なろ過能力低下を引きおこす要因にもなってしまいます。
二つ目の大きなデメリットが赤玉土の寿命と崩れです。
ガーデニングにおいても長年使い込んだ赤玉土は水やりなどによって徐々にその形が崩れ団粒構造が保たれなくなっていきます。
その現象は水中でも同じように起こり、さらに水中では常に水圧がかかっているために水上以上に崩れやすいものとなってしまうのです。
団粒構造の崩れた土は通水性が悪くなり、植物の根に酸素が行き渡りにくくなるなどの障害を引き起こします。
このような問題から水草育成ではなかなか赤玉土をうまく利用できないのです。
赤玉土の特性と水草水槽に求められる条件をしっかり理解した上で赤玉土のメリットだけを上手く利用しているアクアリストの方がいるのも事実です。
しかし水草育成初心者の人が安易に赤玉土を利用することは水草水槽の難易度を上げてしまう要因にもなり兼ねません。
水草育成上級者の方が使用しているのを見よう見真似で行ってもその水槽における日常管理がしっかり出来なければ同じような水槽を作り上げることは出来ないことをご理解ください。
赤玉土の代役 ソイル
赤玉土などのデメリットを改善し水草育成初心者の方でも扱いやすいものにされた土、水中での植物育成のために開発された土がソイルです。
ソイルは赤玉土の欠点である濁りと崩れを防ぐために特殊製法で焼成された土で水草に必要な栄養分を含むものやpHを水草の好む水質に保つ働きをするものなど様々なものが販売されています。
このソイルの誕生が水草育成の可能性を広げたと言っても過言ではありません。
赤玉土は屋外のビオトープなど水深の浅い、あまり水圧のかからない場所などで使用し、水槽での水草育成ではソイルを使用するなど上手く使い分けをするといいかもしれません。
ソイルと一言で言っても現在、各メーカーが色々と特徴のあるソイルを販売していますのでメジャーのものを幾つかご紹介いたします。
プラチナソイル
プラチナソイルは、国産天然黒土を100%使用した天然素材で透き通った輝く水をつくります。
水草や魚にやさしい自然の水質調整機能をもち、透明度の高い水を長期間維持するうえに水の立ち上がりを早め、ろ過バクテリアを繁殖させます。
水草育成やビーシュリンプなどにも最適なソイルで軟水環境を維持し、流木の色素やコケの原因となるリン酸などを天然ソイルの力で吸着します。
プラチナソイルの特徴
- pH・kHを引き下げ弱酸性の軟水環境を維持
- 流木などから出るタンニンなどの色素を強力吸収
- 透明度の高い水を長期間維持
- 水の立ち上がりを早め、ろ過バクテリアを増殖する
プラチナソイルの使用方法
ソイルを洗わずに水槽の中にそのまま敷いてソイルを掘り起こさないようにゆっくりと水を静かに注ぎます。
セット時は多少水が濁りますが、ろ過装置を作動させることにより、約1~2時間ほどで濁りは無くなってきます。
稀に水面に膜のようなものが張ることがありますが水質に問題はありません。
ネットですくい取ったり、エアレーションをすることにより簡単に消すことができます。
また水槽のガラス面に茶色の膜のようなものがつくことがありますが、手でこする程度で簡単に落ち水質にも影響はありません。
プロジェクトソイル
プロジェクトソイルは生き物(魚・水草・えび)にやさしく、成長・繁殖に力を発揮します。
設定基準値付近pH6.7±0.2で安定し、弱酸性の軟水を長期間維持します。
海洋深層水に含まれる各種の希少ミネラルが配合されているのでろ過バクテリアの活性が長期にわたって維持されます。
流木のアクや不純物を吸着し、透明度の高い水をつくります。
水道水の場合、pHの急激な低下が生じないため、頻繁な大量換水の必要がありません。
厳選された天然土壌を主原料に、軟焼結製法により製造されております。
プロジェクトソイルの使用方法
プロジェクトソイルは優れたろ過力と水質安定維持機能を兼ね備え、バクテリアの繁殖と水草の発根に適した柔らかい多孔質の粒状に加工されています。
本製品を水洗いしないで、そのまま水槽に粒子をくずさないように敷き詰めます。
注水はお皿、板などをソイルに置き、その上から静かに水を入れソイルが水流で舞い上がらないよう注意して下さい。
注水時にソイルが舞い上がり水が濁る場合がありますが、フィルターを回すことで約3~5時間で濁りが落ち着きます。
熱帯魚などはソイルをセットし、水を循環させた翌日以降に水温・水質を合わせてから静かに水槽へ放してください。
新しくセットした場合、ろ過バクテリアが十分に繁殖するまでに2~3週間かかりますので、魚数・給餌量ともに控え目にしてください。
水草一番サンド
水草一番サンドの特徴
水草一番サンドは、原料の火山灰土・黒ぼく土を無菌の状態で加熱処理し、さらに扱いやすく改良した自然造粒です。
透水性、通気性、保水性をかねそなえ水草の育成が簡単にできます。
水草育成に必要なヨウリン酸、硫酸カリなどが含まれています。
今回は水槽に赤玉土を使うメリット・デメリットについてご紹介しました。皆様のアクアリウムライフの参考にしていただけると幸いです。