立ち上げたばかりの水槽は、まだ生体に適した水とは言えません。ここからどのように生体に適した水作りをしていくのか?
その一連の【水作り】の流れを分かりやすくまとめました。
上手に飼育水を管理するコツや、おすすめの水質検査薬などにもふれていきます。
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水槽の水作り
水草や生体が好む水作りとは?透明度のあるピカピカで安定した水質に仕上げていく為にはどうしたら良いのか?分かりやすく解説していきましょう。
◆水槽を立ち上げる際ですが時間に余裕がある方もいれば、少しでも早く水作りをし水槽を立ち上げたい方もいらっしゃるかと思います。どちらの要望にもお応えできるように一連の流れを順を追ってお話していきます。
お住まいの地域の硬度
まずは水道水の硬度についてサラッとふれていきましょう。アクアリウムに使用する水は水道水を使用するわけですが、水道水は軟水に近い方が水草や生体が飼育しやすくなります。
しかしこの水道水の硬度と言うのは、お住まいの地域によってはかなりのバラつきがあります。お住まいの地域がどのような水質(軟水or硬水)なのか?を事前に把握しておかれると今後の水作りにとても役に立ちます。
まずはザックリですが、下記をご覧頂きお住まいの硬度を確認してみてください。
色が赤いほど硬水地域となり、逆に青に近くなるほど軟水地域になります。
参考URL:東京大学
上記の地図を見ると千葉・埼玉が最もレッドゾーン地域であり、続いて東京・熊本・徳島・香川・栃木も硬度が高めなのが分かります。水道水の硬度が高い地域ほどアクアリウムの難易度は上がる傾向があります( ノД`)*ゆえに硬水地域にお住まいの方でアクアリウムをされたい場合は【浄水器】などを上手に利用されると良いでしょう。注意点として浄水器と言っても、ご家庭で使う浄水器は水草や生体に良いとされる成分も取り除いてしまうのでアクアリウム用の浄水器をご使用下さい。
水草や生体の多くは、弱酸性の弱軟水を好みます。育成される水草や生体の特性にあった硬度やペーハーに調整しましょう。
◆適正硬度(約4~6gh-弱軟水)
◆適正ペーハー(約5.5~6.8ph-弱酸性)
用意した水槽に底砂をいれる
主に、ソイルや大磯砂などが良く使用されます。
ソイルを使うメリットは、初心者の方でも水草や生体が育成しやすい水質を維持しやすいと言う点があります。
また、ソイルには栄養系ソイルと吸着系ソイルの2種類に分けられます。
栄養系ソイルは、多くの栄養分を吸収する水草育成に向いていますがどうしても苔やすくなります。逆に吸着系ソイルは生体に有害成分を吸着する作用に優れ、栄養分は少なめですがそのぶん苔は出づらくなります。
初心者の方は慣れるまでは栄養系ソイルよりも、吸着系ソイルの方が扱いやすくおすすめです。
吸着系ソイルは環境の変化にデリケートなエビや、あまり多くの肥料を必要としない水草水槽にも向いています。臨機応変に、固形肥料や液体肥料も併用されると良いでしょう。
そして栄養系と吸着系の良い所取りでもある、ハイブリッド系のソイルもあります。吸着能力に加え水草に必要な栄養分もバランスよく含まれているソイルになります。
しかしソイルには寿命があるため、その効果は永久ではない点がソイルのデメリットとしてあげられます。
ソイルは時間の経過と共にソイルの粒子がつぶれ劣化するので、約半年~1年くらいを目安に水槽をリセットする手間が発生すると言う点がデメリットです。
逆にソイルとは対照的に頻繁なリセットはせずに、長期維持ししたいのであれば何回でも使い回しできる大磯砂などが便利です。しかし大磯砂にもデメリットはあり、水質の硬度をやや上げてしまいます。
また大磯砂には栄養分を含みませんので水草なども一緒に植栽される場合などは、あらかじめ水槽セット時にイニシャルスティックのような固形の水草専用固形肥料などを元肥として施してあげる必要があります。
次に大磯砂を入れる事による硬度上昇についてです。おすすめの硬度対策としては大磯砂を底床に使いつつ、それとは別にソイルに水草を植栽した鉢植えを一緒に水槽内に入れてあげると言う方法です。
もしソイルの寿命が来たら、新しいソイルに植え替えしてあげるだけなのでわざわざ水槽をリセットする必要もなく水質も安定しやすくなります。
ただし見ための問題もありますので、レイアウト的には鉢植えが目立たないよう流木で隠したりすると良いでしょう。もしくは水槽の立ち上げ段階で、硬度が高くても育ちやすい水草をセレクトされるのも一つの手ででしょう。
2~3年もすれば、硬度も安定してくるのでとても優秀な大磯砂が完成します。
大磯砂は何度でも使い回しできるだけでなく、硬度が安定した大磯砂はアクアリストの間でも非常に重宝されますので永久に使用する事ができる事も最大もメリットと言えます。
デルフィス リベラソイル (栄養系ソイル)
栄養系ソイルはadaさんが販売している【アマゾニア】や下記のような【リベラソイル】などがコレにあたり、どちらも水草に必要な栄養分を豊富含んでいます。
水槽立ち上げ初期だけは白濁りや苔が発生しやすいなどのデメリットもありますので、このあたりを乗り切る必要がありますが水質が安定してしまえば水草は良く育ちます。
プラチナソイル (吸着系ソイル)
【プラチナソイル】は人気の吸着系ソイルの一つで、吸着能力が非常に優れ同時にペーハー(ph)も良く下がります。硬度を上げてしまう要因でもある石などを使ったレイアウト水槽のソイルとしても向いています。
GEX 水草一番サンド (吸着&栄養系ソイル)
【GEX 一番サンド】は、まさにハイブリッド系の吸着系・栄養系の両方を備えたソイルです。
大磯砂
下記は大磯砂になります。栄養系ソイルとは違って、何回でも洗って使い回しができるメリットはありますが栄養分等は全く含みません。水草を植栽する場合は、元肥として水草専用肥料などを事前に埋め込んで使用されると良いでしょう。
肥料を入れるタイミングなどについては、下記をご参照ください。
濾過フィルター等の器具をセット
水槽に底床を敷き詰めたら、水槽のサイズに合った濾過フィルターを水槽にセッティングしていきましょう。
アクアリウムで最も悩まされるものに苔がありますが、水槽立ち上げ時に濾過槽(上部・外部フィルター)に苔対策濾材をあらかじめ入れておくのもおすすめです。例えば苔発生原因となるリン酸塩・ケイ酸塩を吸着してくれる【LIVESeaフォスト Jrパック】などがあります。*この濾材は、エビにも安全無害でPHへの影響もないのおすすめです。
他にも飼育水の黄ばみや汚れ・臭い等を吸着する【活性炭】や、生体や水草に有害なTDSを下げる【リバース】なども濾材もおすすめです。*【リバースシリーズ】は、この記事の最後で詳しく説明しています。
また、器具の設置は後からでも出来なくはありませんが、水の中に何度も手を突っ込んで作業するより配置変更もしやすいですし、この段階でキレイにまとめて置いた方が良いでしょう。
他に、この先必要になってくる水温系やヒーター、レイアウト素材(流木や石)などもこのタイミングで同時にセットし注水後に電源をonにするだけにしておきます。
水草を入れるタイミングは?
◆水草を植えられる場合◆
水槽の立ち上げと同時に水草を入れる事で、バクテリアなどの微生物が繁殖しやすく水質を安定させる効果もあります。もし可能であれば、始めの段階で出来るだけたくさんの水草を植えてあげる事で水の浄化能力が高まります。
立ち上げ初期に向いている水草は、環境の変化に左右されない育成が容易な水草でスターティングプランツ(パイロットプランツ)と言われるような水草です。
例えばスターティングプランツに向いている水草は、【アナカリス】【マツモ】【ハイグロフィラ ポリスペルマ】【ウィステリア】などがあります。これらの水草は、少ない光量でco2添加なしでも育つのでおすすめです。
特にマツモは水槽内にただ浮かべて置くだけでも勝手に増えますし、枯れにくいので初心者の方に大変向いています。
上記以外に、立ち上げ初期に向いている水草として、初心者でも育てやすい【詫び草】があります。
詫び草が良い点はすでに根が張り水草の状態も安定しているので、初心者も方でも無理なく水中化できる点や植栽による根の傷みもありません。
新規で立ち上げる水槽に入れても、詫び草の土台に住み着いているバクテリアの作用で水をキレイにする効果も期待できます。
【詫び草】は水上でミスト管理された状態で、アクアリウムショップやネットなどでも簡単に入手可能です。
そして水槽に水草を入れるタイミングですが、基本的には水草を植えやすいタイミングです。【注水前】の方が植栽しやすい水草であれば、乾燥に注意を払いながら注水前に植栽します。*事前にソイルを少し湿らせた状態で植栽したり、もしくは霧吹きをかけながら植栽してもOKです。
臨機応変に、【注水途中】や【注水後】に水草を植栽しても特に問題はありません。
岩などを多くレイアウトに使っている水槽であれば、比較的硬度が高くても育つキューバパールグラスなどの水草を選ばれたり、co2の添加をされないのであれば上記で紹介したような水草を選ばれると良いでしょう。
*ただし立ち上げ初期の水槽は、水草にもストレスがかかるのが事実です。本命の水草が育成が難しいと言われるような水草だったり、環境の変化に弱いデリケートな水草の場合はしっかりと水槽内の環境が整ってからお迎えすると良いでしょう。
よって水槽の立ち上げ初期はスターティングプランツと言われる水草を使用し、水作りが完成したら本命の水草を入れる!と言った順番になります。
スターティングプランツは今後のレイアウトに合いそうな水草を選んだり、もしくは水槽が立ち上がったらビオトープなどに移動し新たな水草を植栽されても良いでしょう。
また今後エビやオトシンなどの苔取り生体を入れる場合は、無農薬の水草を購入するようにして下さい。
苔防止や生体のためにも水草は多いに越した事はありません。その中でも多くの栄養を吸収する水草ほど、水の浄化作用が強くなります。
バクテリアの存在
水草や生体を育てやすい水質にするためには、水槽内の住民とも言えるバクテリアの存在も非常に重要視される部分になります。濾過バクテリアが多いほど水の透明度があがります。
新しく立ち上げる水槽内と言うのは、まだ生物濾過をするバクテリアが存在していない状態になります。下記の方法で、新規水槽にバクテリアを入れていきましょう。
①他に育成している水槽があればその飼育水を種水として使う。
②アクアリウム用品や水草を購入したついでに信頼できるアクアリウムショップで、種水を分けてもらう。
③購入した水草にもバクテリアは住み着いています。
③市販のバクテリア剤を使用する。
水槽の立ち上げのカギを握っているのは【バクテリア】です。水作りの基本は【バクテリアを育てて増やす】コレにつきます!バクテリアが上手く育って、初めて水はピッカピカの透明になお水になっていきます!
アクアリウムと【バクテリア】は、切っても切れない関係です。
*種水が入手できない場合や水槽の立ち上がりを早くしたい場合は、市販の生物バクテリアを使用するのが一番の水作りの近道となるでしょう。
バクテリアの入れ過ぎに注意
新規水槽立ち上げ時などはバクテリアを入れる事で、飼育水の立ち上がりが早くなるメリットがあります。しかし、水作りに欠かせないバクテリアなのですが入れ過ぎてしまうと返って逆効果になってしまいます。
バクテリアも生き物ですので餌も食べ呼吸もしています。しかし増え過ぎたバクテリアは餌不足や酸欠を起こし、その結果バクテリアが死滅してしまう事で水槽内が白濁りしたり水質悪化につながります。
詳しくは下記をご参照ください。
試運転をする
水槽内に水草を植栽しレイアウト、そして水張りまで終了したらすべての電源をonにし試運転を開始します。
水槽の立ち上げ初期に含まれる生体に有害なアンモニアや亜硝酸塩はバクテリアによって分解されていきます。やがて生体に比較的無害な【硝酸塩】となり、水草や生体が好む水へと仕上がって行きます。
生体を入れる前に水質チェックをしよう
さて次に生体を入れるタイミングです。水がいくら透明になっても、それが生体にとって良い水になったとは限りません。
どのタイミングで生体を入れたら良いのか?を視覚的に判断する手段として、1~2週間くらい新規水槽を試運転したらひとまずNO2チェックをしてみましょう。
no2とは、生体には有害なアンモニア成分から作られる【亜硝酸塩】の事を指しています。
このアンモニア成分は、生体が入っている水槽に限らず栄養系ソイルなど水草肥料にも含まれています。これらの有害なアンモニアは、バクテリア達の働きで分解され無害化されて行きます。
つまり【亜硝酸塩】が検出されない=水槽内のno2を分解するだけのバクテリアが育ったサインです。
よってNO2が検出されているうちは、まだ生体を入れるのはやめておきましょう。特にno2がまだ検出される水槽に、環境の変化に敏感なエビなどの生体を投入してしまうと、せっかくの生体が☆になってしまいます。
no2が検出されなくなったら、水が仕上がったとも言えるサインにもなるので生体を入れてもOKな水質となります。
よって生体を入れる際の注意点としては、水槽内にいるバクテリアの処理能力に合った生体数にする事がキモです。始めに入れる生体は、様子を見るためにほんの少しにしておきましょう。
一度にたくさんの生体を入れてしまうと、バクテリアによる生物濾過が追い付かず水質悪化につながりますので注意が必要です。
失敗しない水作りのコツ
失敗しない水作りのコツは?
水作りは始めの1~3か月がキモです。①できるだけ多くの水草を植栽し水を浄化させる②初めのうちは水替え頻度を増やす事で、co2や微量元素を水槽内に供給させしっかりと循環させてあげましょう。しっかりと手間をかけてあげる事で安定したお水になります。③水作りはいかにバクテリアを増やす事ができるか?がキモです。④バクテリアがしっかり増えるまではじっくりと待つ必要がありますが、もし早く水槽立ち上げを早めたいのであれば市販のバクテリアを使用する方法もあります。④水質チェックで亜硝酸塩(no2)が検出されなくなってから生体を入れる。
◆まだ水が仕上がっていない場合【失敗例】
エビが全滅する・・水草が無農薬でなかった場合や、まだ水槽内に有害な成分が残っている段階でエビを投入してしまうとエビがアッと言う間に全滅してしまうリスクを秘めていますので必ず【亜硝酸塩no2】のチェックをしましょう。
水草が育たない・・光量不足(前景草ほど多くの光量が必要)、co2や肥料不足、ペーハーや硬度などの水質に問題があると水草に元気がなくなり葉が小さくなったりします。
あと慣れないと取っつきづらいかもしれませんが、定期的に現状の水槽の状態(水質)をチェックする事で生体を☆にしなくて済んだり水草の状態も良くなります。
定期的に測った方が良い項目を下記にあげていますので、水作りの参考になさってください。
おすすめの水質検査薬・水質測定器
水質を調べる方法として良く使用されるのは、主に【試験紙】や【試薬】などのキットや【水質測定器】などがあります。ただ各メーカーさんからいろんな商品が販売されていますので、初心者の方は何を選んだら良いのか悩むところですよね?
例えばですが人間の場合を例にとると、まずは血液検査して数値が高いものがあればさらに精密検査と言う流れになるかと思います。アクアリウムの検査キットも同じような考え方とすると分かりやすいです。
まずは、簡易ではありますが総合的な検査が可能な【Tetraテスト 6in1】のような試験紙でザックリと全体を見ます。そして、気になる項目があればそれに対しさらに詳しく測定できる【試薬】を利用されると良いでしょう。
そして【試験紙】は簡易的な要素が強いので、飼育水を直接混ぜて検査する【試薬】の方が測定範囲も広く測定精度が高くなります。ですが、まずはザックリ水質を知る!と言う意味では簡単で使いやすい【試験紙】にも大きなメリットがありますので、このあたりは使い分けをされて下さい。
例えばph一つ取っても、phのみ測る試薬であれば測定範囲も5.0~10.0mまで広範囲で測定可能になります。さらに気になる試薬の測定回数は約50回、試験紙の場合は25回と圧倒的に試薬の方がお得感があります。
水質検査薬は【森を見て木も見る】要領で、まずは全体を見てから状況に応じて【試験紙】【試薬】【水質検査器】などを使い分けられるのが一番迷わずベストな検査方法です。
◆定期的にチェックした方が良い重要項目◆
①ペーハー(ph)
②硬度(gh)
③亜硝酸塩(no2)
*no2はバクテリアによる分解作用で硝酸塩に変化します。しかし、水槽内でno2を分解するバクテリアの数が追い付いていないとno2が検出されます。魚を投入する前や投入後、この数値を測る事でno2を分解できるだけのバクテリアが水槽内にいるかどうか?の目安にもなります。
④炭酸塩硬度(kh)
*水槽内にkhがあるお陰でphの乱降下が抑えられています。しかしkhが0になってしまうと急激にphが乱降下しますので定期的に測定した方が良い項目になります。
⑤TDS値をチェック
*TDSとは、水槽内に溶け込んだ物質の総量になります。このTDSの数値が高過ぎると、水草や生体の調子が悪くなりますので定期的に測定した方が良い項目になります。
Tetra テスト6in1
こちらの試薬は、上記でも紹介したTetraさんから販売されている【Tetra テスト6in1】になります。ザックリと全体の水質を調べるのに便利な試験紙になります。
簡易的ではありますが、総硬度(gh)・硝酸塩(no3)・亜硝酸塩(no2)・塩素(cl2)・炭酸塩(kh)・ペーハー(ph)など全部を6種類をまとめて検査できるようになっています。
測定回数は25回と少なめではありますが、全体の水質を視覚的に見極める事ができます。
これは水につけるだけで色が変わり約1分で測定できる水質検査試験紙で、キット裏面の表を参考に近い色を探し判定するだけなのでとても簡単です。アクアリウムに必要な水質が一瞬で分かるので、今回のような水作りの際や水替えのタイミングなどを知る目安にもなります。
飼育水につけたら取り出し、1分くらいしたら色を測定します。1分以上空気にふれた状態にしていると、試験紙が乾燥し色味が濃くなり正確な判断ができなくなりますので1分後には測定しましょう。
水質は育成する水草や生体によっても異なりますので、このような試験紙があるととても役に立ちます。
テトラテスト ph試薬
phだけをさらに詳しく分析したい時に向いている試薬で、ほとんどの水草や生体は弱酸性を好みます。測定回数は50回となります。
sera(セラ) ghテスト
ほとんどの水草や生体が好む水は弱軟水の水質になります。
こちらの【sera ghテスト】は、飼育水の硬度(gh)を測定したい時に便利です。硬度は一番始めにもふれましたが各地域によってバラバラですので、ご自分の地域の硬度を水槽立ち上げ前に確認しておく事をおすすめ致します。
水槽立ち上げ時の硬度管理やメンテナンス時など、定期的に測定しておきたい項目です。tetra社のgh試薬はすでに廃盤になっているので、今はsera社のgh試薬を使用されている方も多いのではないでしょうか。
リベラ総硬度テストキットTH
こちらも、上記同様に硬度(gh)が測れる【デルフィス リベラ 総硬度テストキット】になります。ただ欠品が続いているようですね(´;ω;`)
上記で紹介した【sera ghテスト 】との違いは、こちらのキットの方が細かいgh分析ができ値段もseraより安いのでお得感がある点です。ghの明細な情報が欲しい方に向いています。測定範囲10~300mg/Lで、内容量は410滴分となっています。
テトラテスト no2
下記は、亜硝酸塩(no2)だけを分析したい時に便利な試薬です。水槽立ち上げ時に生体を入れるタイミング・水替えのタイミングやフィルターメンテナンス時などの目安にするなど、定期的に測定したい項目です。
ザックリ測定する【Tetra 6in1】などの試験紙よりも、さらに精度の高い【亜硝酸塩(no2)】測定が可能です。45回分まで測定できます。
バイコム スターターテストキット(アンモニア・亜硝酸・硝酸塩)
こちらの試薬は【アンモニア・亜硝酸・硝酸塩】だけ測りたい時や、新規で水槽を立ち上げる際にバクテリアによる生物濾過の進行状況を把握したい時にも便利です。
◆使用例
例えば水槽立ち上げ時に【アンモニア・亜硝酸塩・硝酸塩キット】を使用しアンモニア成分が検出されたとします。
*ソイルや肥料・生体を入れていない場合など有機物が水槽内に何もない場合は初めからアンモニアは検出されません。
生体に有害なアンモニアはバクテリアの働きにより、亜硝酸塩になり最終的には生体に無害な硝酸塩へと変化します。そして10日~2週間くらい試運転後に、再び【アンモニア・亜硝酸塩・硝酸塩】を測定します。
その時に生体に有害な成分(アンモニアや亜硝酸塩)は消失し【硝酸塩】のみ検出されればバクテリアによる生物濾過が正しく行われたサインなので生体を入れても大丈夫となります。
逆に生体に有害な亜硝酸塩も一緒に検出された場合は、まだバクテリアによる分解が不十分と判断できるので引き続き試運転をしながら様子を見ます。
このキットを使う事で、生物濾過の進み具合を視覚的に確認できると言うメリットがあります。
*バクテリアによる生物濾過は、スタート時のバクテリアの量にも左右されます。水槽の立ち上げスピードは、市販のバクテリアを使用するか?しないか?によっても変わってきます。
このキットの内容量は3パックとなります。測定回数的にはどうしても割高感がありますので、その点はこのキットのデメリットですね(´;ω;`)
ですので、アンモニア系に関して言えば、こちらのセットではなく亜硝酸塩(no2)だけを測る試薬を使われても良いでしょう。
テトラテスト KH(炭酸塩硬度)
下記は、【kh】だけ測りたい時に便利です。ただkhに関しては毎回測る必要はありませんが、定期的に測定した方が良い項目になります。
khはペーハーが上昇するとkhも上昇し、逆にペーハーが下がるとkhも下がる性質があり、水槽内にアルカリまたは酸性に傾く成分がドンッと入ってきた場合でもphが急激に変化しないように緩和させる重要な役割をしています。
水槽内でphショックが起こらないようにするためにも、khは水槽になくてはならないものになります。そしてぜひ注意して頂きたいのは【khが0】にならないようにする事です。
【khが0】になってしまうと、外部から酸性やアルカリに傾く成分が入ってきた時に全く緩和されなくなるのでphが一気に乱降下します。結果として環境の変化に弱い水草は弱り、生体は(お☆様)になってしまうわけです。
ライトの点灯に合わせco2を添加している方が多いと思いますが、co2は水の中に溶け込むと水素イオンを発生するためco2添加時はphが下がります。逆にco2をoffにする夜間の時間帯は、水中内のco2は抜けていきますのでphは再び上がります。
その結果co2添加off時(夜中)に生体が☆になるのは、このkhが影響している可能性があるわけです。
あまり難しく考える必要はありません。khが少しでもあれば、co2の影響は受けませんので水質が極度に酸性に傾かないようにすればOKでです。*co2を例に取りましたが、phを変動させる要因は何もco2だけではありません。
つまりkhを計測するタイミングとしては、phが弱酸性から酸性へと傾きかけている時は要注意だと思いましょう。水槽内に石など硬度を上げるような要因が何もない水槽内では、khは常に消費され続けます。
つまりこのような水槽は、khが0になるのは時間の問題と言う事です。早くて3か月だったり半年~長くても数年でphの乱降下に直面する可能性が高くなります。
調子の良かった水槽がいきなり急変し水草が調子悪くなったり、昨日まで元気だった生体がポツポツ☆になるような現象は、実はkhが影響している可能性が高いとも言えます。
khはアルカリ度の指標でもありphと比例するので、phが上がればkhも上がります。例えば一般的な水槽水の硬度(gh)は平均7(中性)なので、水替えする事でphやkhが上昇し硬度を調整する事ができます。*ただし硬度(gh)は地域により異なるのでご注意ください。
しかしいつもの水替えで硬度調整が上手くできず、すぐにphが下がってしまうような場合や、水質が酸性に傾き過ぎている時などは特に要注意です。
kh0に向かっている可能性もありますので、この状況に心当たりがある場合は下記のような試薬で一度khをチェックしてみましょう。
マーフィード エコ ペーハー DUO
こちらは、スティック型のデジタル水質測定器になります。phと水温の測定がボタンひとつでできます。使用回数は365回で寿命が来たら新しいものと交換すると言う流れになりますね。
また1~2週間くらいを目安に校正が必要となりますので、別売りの校正液も入手しておく必要があります。
校正じたいはボタン一つであっと言う間に完了し、測定は1分以内に終了し測定結果が自動ロックされる仕様になっています。数値の誤差ですが、±0.2phとなっています。
注意点としては、測定時は止水状態で測定した方が安定感がありました。また長く使用するためにも、使用後はフタをしっかり閉めておくようにしましょう。
アンギーク FUKUROWⅡ
こちらは水槽中のペーハーを、リアルタイムに表示してくれるアイテムです。必須と言うわけではありませんが、あると便利と言う感じでしょうか?
phは、常に変動するものなので毎回phを測るのは面倒くさいと言う方にも向いていますね。導入する時に、校正などの初期設定が必要となります。
このようなphリアル監視アイテムは、他のメーカーでも販売されていますが中には初期設定に1日以上~かかるものもありますが、この【FUKUROWⅡ】は初期設定時に行う校正も校正液につけてボタンを長押しするだけで完了しますので、初心者の方でも設定しやすい仕様になっています。
注意点としては、電極部分を乾燥させると壊れる原因にもなるので保管時は常に湿った状態にしておく必要があります。
一度セットしてしまえば自動監視により視覚的に毎日phチェックができるためとても便利です。
TDSメーター
水質の状態を把握する時に便利な水質検査器に【TDSメーター】があります。
TDSメーターを使う事で、水槽内に溶け込んだ物質(不純物やミネラル)の総量を知る事ができます。TDSの数値が高過ぎると◆水草や生体の調子が悪くなります◆ので定期的に測定した方が良い項目になります。
例えば下記は、両方ともペーハー(ph)が【6.5の弱酸性】のお水だとします。しかし、中の様子がおかしい?ですね・・。
これはつまりphが同じと言うだけで、水槽内に溶け出している物質の量が全く異なるわけです。よって定期的にTDSの数値を測定する事で、水質異常に早く気付く事ができるメリットもあります。
ここで少し硬度とTDSの違いについてふれておきましょう。
◆硬度とは?水中に含まれる【カルシウム】や【マグネシウム】のみの含有量になります。
◆TDSとは?総溶解固形物の事を指し上記の【カルシウム】や【マグネシウム】だけでなく、それ以外のミネラル成分・カリウム・ナトリウム・そしてバクテリアが分解した硫酸塩、重炭酸塩・塩化物などの物質も含まれています。
つまり硬度の測定も重要ですが、それだけではその他に溶け込んでいる物質の総量までは分かりません。
TDSの目安は約30~100ppmくらいになります。*水道水内のTDSは地域によっては異なります。例えば、TDSが少ない地域だと30ppm~多い地域で200ppmと、かなり高い数値が出る地域もあります。
水槽内に生体を入れている場合や、ソイル・肥料・カキ殻や珊瑚・硬度を上げる石やレイアウト素材・ペーハー調整剤などを使用しph調整している場合は水槽内に溶け出すミネラルなどの物質や硝酸塩の量も多くなります。
これらはTDSの数値を確実に上げる要因にもなります。臨機応変に使用する分には問題ありませんが、残念ながら根本的な解決にはなってはいきません。
これらから出る物質が水槽内にどんどん蓄積されていく事で、TDSの数値は自然に高くなっていきます。よって水質はペーハー(ph)だけ見るのではなく、硬度(gh)を上げてしまう物を投入するのであれば、硬度やTDSの数値も確認していく必要があります。
例えば人間の飲み水でもミネラル分が多過ぎる水は苦みや渋みが強くなり、さらにミネラルが多くなるほど美味しい水とは言えなくなります。飲んで美味しいと感じる水は、やはりミネラルも適量なわけです。
これは、水草や生体にも全く同じ事が言えます。TDS濃度が高い水は水草や生体が嫌がる水質でもあり、何かと弊害が出てしまい調子を崩す要因になります。
TDSメーターも、ひと昔前までは値段もお高めでしたが今は2000円台と破格な値段になってきています。
使用する際の注意点として、TDSメーターの数値は各メーカーごとに測定数値が若干異なると言う事を把握しておいた方が良いでしょう。また測定時の水温によっても数値にバラつきが生じますので測定する際の水温は水槽内の水温と同じにして測定する必要があります。
TDSメーターで測定するのは飼育水槽だけでなく、ご自宅の水道水も一緒に測定しTDSの数値を一緒に把握しておくのがおすすめです。
また水道水をTDSメーターで測定する際は蛇口から出したばかりの水ではなく、ばっきやエアレーションをしてからの水を測定するようにしましょう。*蛇口から出した水とエアレーション後では数値が異なり、エアレーション後の数値が本来の数値となるからです。測定時には水温も、水槽内の温度を合わせる事で誤差なく正確な測定ができます。
飼育水の管理におすすめ
水質を知る事で、水作りはどんどん面白くなります。上手に飼育水を管理し、アクアライフを楽しいものにしていきましょう。
水質が酸性もしくはアルカリに傾いた時に、添加剤(ph調整剤)を使用する場合も多いと思いますがデメリットとしてTDSの数値も上げてしまう!と言うお話をしてきました。
phの調整は、添加剤を追加するよりも【余分な酸性物質・アルカリ物質を取り除く】方向で対策するのが一番の得策です。
とても手っ取り早くTDSを下げる方法の一つとして、下記のような濾過材を既存フィルターに入れるだけで酸とアルカリを取りベストな水質に調整する事が可能です。
使い方はどれも非常に簡単で、外部フィルターや上部フィルターなどの濾過槽や水槽の中にネットごと入れておくだけです。
リバース グレイン フレッシュ 酸とアルカリを取り中性にする
【phが酸性になるのを抑制したい】時に便利な【リバース グレイン ソフト】です。
酸性やアルカリ物質を始め苔の原因となる酸化物などをイオン交換樹脂が吸着し、気になるphを中性付近の軟水(gh2くらい)に近づくように作用します。水槽内に物質を足してphを調整する訳ではなく、吸着させる仕様のためTDSの数値には影響しません。
一度吸着した物質が、再び水槽内に戻る事はないので安全に使用できる点も大きなメリットです。
何もしないと自然に増えていってしまう有機物や酸化物を、ずっと取り続けてくれるので水質が酸化しづらくなります。新規の水槽立ち上げの段階で、濾過槽に一緒に設置しておくのもおすすめです。*交換時期が来たら新しいものと取り換えましょう。
水質は一般的な淡水魚などの生体を始め、水草にとっても生命を左右するほど重要な要素です。リバースシリーズは、水質管理の一助としてとても有効です。
リバース グレイン ソフト アルカリを抑制する
【アルカリになるのを抑制したい】時に便利なのが【リバース グレイン ソフト】です。
硬度が高過ぎると育つ水草も育たなくなり、とても残念な感じになってしまいます。濾過槽にこの濾材をネットごと入れるだけで、水槽内のアルカリ物質をこの濾材が吸着し硬い黒髭苔などがつきづらくなります。
効果に即効性はありませんが、ゆっくりと硬度を下がり最終的には硬度をGH1まで下げる濾材になっています。*時間が長期経過してもGH1まで下がらない場合は、水槽内に硬度を上げる何かが入っていたり生体に与えている餌の量が多いなどの原因が考えられます。
硬度1前後まで下がらない場合は、レイアウトなどの飾り物などが硬度を上げてしまう素材が他にないか?などを一度確認して見ると良いでしょう。
リバース グレイン ソフト6.8 さらに強いアルカリを抑制する
地域によっては、やっかいなアルカリが存在するのでこの強いアルカリを除去しphを6.8くらいに持っていってくれるのが【リバースグレインソフト6.8】になります。
上記の【リバースグレインソフト】と併用する事で、より高い効果が得られます。なかなかTDSが下がらないなんて言う場合も、もしかしたら、このやっかいなアルカリが原因かもしれません。
水道水の硬度が高い地域の方だと水替えの度に硬度が高くなったり、または石組みレイアウトをしている!など硬度の悩みを何とかしたい!もしくは元々硬度が高い地域の方が、新規水槽を立ち上げる際のスタートアップ濾材としてもおすすめです。
水槽の水作りのお話をさせて頂きましたが、少しでも参考になりましたら幸いです。最後までお付き合い頂きどうもありがとうございました。
それでは、引き続き素敵なアクアリウム生活をお過ごし下さい(⋈◍>◡<◍)。✧♡